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日文研の話題

コロンビア大学ドナルド・キーンセンターを訪問しました(2024年4月18日、19日)

2024.05.22

 2024年418、19日に安井眞奈美教授(日文研)がニューヨークのコロンビア大学ドナルド・キーンセンターを訪れ、講演とワークショップに登壇されました。以下は、安井教授よりの報告です。

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 2024年418、19日両日、安井がニューヨークのコロンビア大学ドナルド・キーンセンターを訪れ、講演とワークショップに登壇しました。ドナルド・キーンセンターでは、日本文化に関する講演などを定期的に開催しており、その一環として安井がVisualizing Fetus in Early Modern Japan(「近世日本における胎児の視覚化」)というテーマで発表しました。

 キャンパスのケント・ホールでは、まずドナルド・キーンセンター所長で司会のハルオ・シラネ氏(コロンビア大学教授)が安井を紹介し、趣旨を述べました。その後安井が、日文研や「国際日本研究」コンソーシアムについて紹介したあと、展示「浮世絵にみる妊産婦と胎児の身体イメージ」 “Maternal Health and Images of the body in Japanese Ukiyo-e(カリフォルニア大学サンフランシスコ校で開催中、オンライン展示はこちら)に因んで、胎児の成長の様子を描いた錦絵を中心に、胎児のイメージがどのように変遷してきたかを発表しました。

 講演を受けて、大学院生や研究者を中心とした参加者から、次々と興味深い質問が出され、活発な議論が展開されました。たとえば胎児を描いた錦絵に、胎児の性別は描き分けられていたのか、だれをターゲットにして描かれたのか、などの重要な質問です。安井は、胎児の性別までは描かれていないが、詞書きには性別についての言及があることなどを、資料を示しながら応えました。

 翌419日は、ハルオ・シラネ氏とル・コウ氏(コロンビア大学准教授)の企画による、コロンビア大学東アジア言語文化学部とドナルド・キーンセンター共催のワークショップ Questioning the "Supernatural" in Chinese and Japanese Literature/Culture(中国と日本の文学/文化における超自然を問う)が、コロンビア大学ハミルトン・ホールにて開催されました。これは、202312月に国際日本文化研究センターにて行った「グローバル・コンテクストにおける妖怪の理論化と歴史化」(Theorizing and Historicizing Yōkai in Global Context)のワークショップの続きで、今回は英語で議論を行いました。登壇者はシラネ氏、コウ氏のほか、12月にも登壇したマイケル・ディラン・フォスター氏(カリフォルニア大学デービス校教授)、カナダのアルバータ大学から翻訳研究のアン・コモンズ氏(アルバータ大学教授)、そして安井が発表し、その後、コロンビア大学の教授陣と大学院生を含み、充実した議論を行なうことができました。

 安井は日本と中国の妖怪・ウブメのイメージの違いを発表する予定でしたが、急遽、シラネ教授と相談し、日文研の妖怪データベース(怪異・妖怪伝承データベース怪異・妖怪画像データベースについて紹介し、グローバルなコンテクストの中で妖怪を論じていく今後の課題について、話題提供をしました。議論の様子は、20253月に日本語で出版する本の中で紹介する予定です。どうぞご期待ください。

(文・安井眞奈美 教授)

  • 発表する安井教授 発表する安井教授
  • 発表する安井教授 発表する安井教授
  • 質疑応答にて シラネ教授と安井教授 質疑応答にて シラネ教授と安井教授
  • 妖怪データベースの発表 妖怪データベースの発表
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