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日文研とは

所長のご挨拶

所長 井上 章一

 国際日本文化研究センター(日文研)は、1987 年に設立されました。日本文化を国際的な視野で、学際的かつ総合的に研究していこうとする研究機関です。国からの交付金で運営される大学共同利用機関のひとつになっています。



 これまでの日本文化研究は、おおむね日本国内でつづけられてきました。にない手も、その多くは日本に生まれ育った研究者です。日本は、その意味で日本文化研究の本場であるとみなせましょう。しかし、国外に日本を研究対象とする研究者が、いないわけではありません。けっして少ないとは言えない日本文化研究の蓄積が、海外にもあります。そして、そんな外からの分析は、しばしば国内の研究に刺激をあたえてきました。内向きに自閉しかねない日本の研究状況へ、新機軸をもたらすこともあったのです。



 私どもが日本文化研究の国際化をめざすのは、そのためです。海外の多様な研究には、国内の研究を活性化させる可能性が、ひそんでいます。そこへの期待をこめて、国際交流の機会はふやすようつとめてまいりました。



 毎年、十数名の研究者を海外からまねいています。日文研のなかでもよおす共同研究でも、外国から参加する研究者の枠をとってきました。国際的な研究集会をもよおす機会も、少なくありません。と同時に、海外でひらかれる日本文化研究の集いへは、積極的にでかけてきました。私どもから海外の研究機関によびかけ、共同討議の場をもうけることもあります。



 日文研では、こういう試みを研究支援活動とよんできました。しかし、海外の方がたにたいしてお手伝いをしているだけだと、私どもは思いません。日本国内の日本文化研究を、よりゆたかにする可能性が、ひそんでいる。そう思えばこそ、国際的な研究の場を構築することに、つとめてきたのです。個人的な話になりますが、私じしんそういう場で多くのことをまなんできました。



 私どものそんな志に、共感をいだいてくれたせいもあるのでしょう。このごろは、日本の大学でも、国際日本研究を旗印にかかげる部門がふえています。私どもは、そういう組織との連携にも、つとめてきました。これからは、そのネットワーク全体で、海外の日本文化研究とむきあうつもりです。

所長 井上 章一

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