インドネシア大学・日文研 共同シンポジウムを開催しました(2025年10月21日~23日)
2025年10月21~23日の3日間にわたり、インドネシア大学にて、日文研と同大学との共同シンポジウム「The International Japanese Studies Research Workshop & Symposium (IJSRWS) 2025」および「東南アジアと日本――両地域の文化交流を再考する(Rethinking Cultural Exchange between Southeast Asia and Japan)」を開催しました。
21・22日のシンポジウム “Digital Humanities for Japanese Studies in Southeast Asia”(東南アジアにおける日本研究のためのデジタル人文学)では、インドネシア大学人文科学部の3つの会場にて、多様な発表が英語で行われました。インドネシア大学の学生や院生も発表し、質疑応答にも熱が入りました。基調講演者の一人、関野樹教授(日文研)は、”Data Representation and Processing of Ambiguous Time Information in the Humanities” と題して、人文学の研究で使われる「江戸中期」や「1820年代」といった曖昧な時間のデータを、コンピューターで利用する際の理論について発表し、活発な意見交換がなされました。
3日目、23日の日文研海外シンポジウムは、人文科学部 Tjan Tjoe Som 大講堂にて、対面とオンラインのハイブリッドで開催されました。午前中は日文研とインドネシア大学の研究者が講演し、午後はラウンド・テーブルディスカッション「東南アジアと日本――両地域の文化交流を最考する」にて、日本、インドネシア、フィリピン、タイ、シンガポール、マレーシアの研究者がそれぞれ発表とコメントを行い、最後に皆で、新たな日本研究の方向性について議論しました。たとえばデウイ・アングラエニ氏(インドネシア大学)は、午前中の講演にて、インドネシアの現代作家たちが、日本のアニメやマンガなどを通して経験してきた<日本>をもとに、新たなイメージを自由に創作している現状を発表しました。それをもとに、日本という地理的な場に限定せず、周縁も中心も作らない日本研究の今後の方向性などが議論されました。
またカール・イアン・ウイ・チェン・チュア氏(フィリピン大学)によると、東南アジアの日本研究者は、各自の母語のほか、共通言語としての英語もしくは日本語でも研究成果を発信する二重構造に置かれているため、多言語による共同研究の開催が難しいのが現状とのことです。そのため、日本研究を核にした定期的なシンポジウムの開催や情報交換の場はとても重要で、そのプラットフォーム作りに、日文研も積極的に関わっていくことなども話し合われました。
3日間のシンポジウムの準備・運営は主にインドネシア大学人文科学部、日本研究センターの皆さんが担当し、学生、院生の皆さんも、日本語と英語を駆使しながら、シンポジウムを大いに盛り上げてくれました。また茶話会や懇親会では、美味しく彩りのよいインドネシア料理が振る舞われ、参加者の会話も自ずと弾みました。
3日目のシンポジウムの成果は、2026年度に日本語で出版の予定です。どうぞご期待ください。
(文責・安井眞奈美 教授)
◆ 10月21・22日「The International Japanese Studies Research Workshop & Symposium (IJSRWS) 2025」の詳細はこちら
◆ 10月23日 海外シンポジウム「東南アジアと日本――両地域の文化交流を最考する」の詳細はこちら
(以下、写真は全て3日間のシンポジウムの様子)