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日文研の話題

国際シンポジウム「国際比較のなかの戦後天皇制―「アメリカ王室主義」の観点から―」International symposium “The Post-War Tennō System in International Comparison:The Perspective of American Royalism”」を開催しました(2024年3月26日~27日)

2024.04.16

 3月26日と27日の二日間、日文研とドイツ日本研究所の共催で、戦後の日本の天皇制を同時代の国際比較のなかで捉えるための試みとして、世界の各地域の君主制について研究している専門家を招いて、国際シンポジウムが開催されました(会場は日文研)。

 戦後の象徴天皇制の形成と展開の研究で学界をリードしている河西秀哉氏(名古屋大学)から基調講演をいただき、その後、Thep Boontanondha氏(マヒドン大学)、長史隆氏(広島市立大学)、Robert B. Rakove氏(スタンフォード大学)、Robert Steele氏(オーストリア科学アカデミー)、Karine V. Walther氏(ジョージタウン大学カタール校)から、それぞれタイ、日本、アフガニスタン、イラン、サウジアラビアの冷戦期における君主制のあり方が、アメリカの外交政策との連関において報告されました。

 最後に、君塚直隆氏(関東学院大学)から、ホワイトハウスがいかに各国の君主を迎えたかが、ドレスコードの差異という観点から紹介されました。

 本シンポジウムは、日本研究をグローバルな知識交換のネットワークのなかで行うためのひとつの試みとして企画されました。日本研究の専門家ではなく、他の地域の研究者を広く招聘し、天皇制と他の君主制との比較とつながりについて、戦後の国際秩序という背景で議論が行われました。この成果を、歴史学や政治学の国際的なジャーナルで公刊することを計画中です。

 日本研究の国際的な展開のためには、専門的な日本研究の深化のみならず、隣接する他分野の研究者とも連携して、その可能性を再考し続ける機会が必要でしょう。そのための有意義な一歩となった催しでした。

 冒頭で記したように、本シンポジウムは、日文研とドイツ日本研究所の共催により実現しました。David Malitz氏(ドイツ日本研究所)、楠綾子教授(日文研)と瀧井一博(日文研教授)は、昨年、アメリカ歴史学会(The American Historical Association)と合同でパネル発表をしたことをきっかけに、このシンポジウムの企画を思い立ち、打ち合わせを重ねてきました。アメリカ歴史学会のパネル発表は、「国際日本研究」コンソーシアムの助成により可能となったもので(ドイツ日本研究所は「国際日本研究」コンソーシアム加盟機関)、そこから発展して、新たに今回のシンポジウムが実現できたことは特筆しておきたいと思います。

(文責:瀧井一博 教授)

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