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オンライン研究交流ワークショップ「デジタル・ヒューマニティーズが拓く日本研究の新展開」と国際シンポジウム「「デジタル日本学」の可能性」を開催しました(2022年12月16-17日)

2023.02.27

 2022年12月16日(金)、大阪大学グローバル日本学教育研究拠点との共同主催により、オンライン研究交流ワークショップ「デジタル・ヒューマニティーズが拓く日本研究の新展開」を開催しました。本ワークショップは、日本研究領域におけるデジタル・ヒューマニティーズの手法を用いた最先端の取り組みの成果を共有するとともに、若手研究者間の研究交流を促進することを目的として企画されました。

 第一部では、統計学的モデリングや計量解析手法を駆使して日本民謡を対象にしたデジタル・ ミュージコロジー研究に取り組んできた河瀬彰宏氏(同志社大学准教授)が、「同志社大学人文情報学研究室におけるデジタル・ヒューマニティーズ研究」をテーマに、当分野の最先端の方法論とその研究成果の一部を報告しました。また、長年にわたってデジタル化資料の公開に取り組んできたフレデリック・クレインス教授(日文研)が、「外書データベースとデジタル・トランスフォーメーション」をテーマに、日文研におけるデジタル・アーカイヴの構築とそれに基づく研究成果について報告しました。それぞれの報告の後には、参加者との間で質疑応答がおこなわれました。第二部では、参加者全員が各自の研究内容を紹介し、相互の意見交換と講師陣からのフィードバックを通して、活発な研究交流がおこなわれました。

 上記のワークショップと連動して、翌17日(土)には、同じく大阪大学グローバル日本学教育研究拠点との共同主催による国際シンポジウム「「デジタル日本学」の可能性」が開催されました。

 シンポジウムは二部構成で、第一部「キーノート・スピーチ」では、北米における日本研究×デジタル・ヒューマニティーズの専門家であるホイト・ロング氏(シカゴ大学教授)が「Towards a Science of Stories: Past, Present, Future」(物語の科学へ:過去、現在、未来)と題した基調講演をおこない、長年取り組んできた研究の有効性と将来性を語りました。

 第二部「パネルセッション:日本研究×デジタルの拓く可能性」では、田畑智司氏(大阪大学人文学研究科教授)の司会のもとで、パネリスト4名の発表――カラーヌワット・タリン氏(Research Scientist, Google Brain)「AIくずし字認識研究の可能性」、阪田真己子氏(同志社大学文化情報学部教授)「伝統芸能のデジタルアーカイブ―その場限りの美を残すことの意味―」、矢野桂司氏(立命館大学文学部教授)「現在、過去、未来の京都の時空間を重ねる「バーチャル京都」」、松村真宏氏(大阪大学大学院経済学研究科教授)「メッセージの背後に潜むダイナミズムと問い」――がおこなわれ、ディスカッサントである長原一氏(大阪大学データビリティフロンティア機構教授)と関野樹教授(日文研)がコメントした後、参加者同士で活発に意見が交わされました。

 本ワークショップとシンポジウムの開催により、日本研究とデジタル・ヒューマニティーズの手法とを掛け合わせる試みがすでに多彩なかたちで進められ、大きな成果をあげている現状を確認することができたとともに、今後の可能性についても展望を拓くことができました。

(文・劉建輝 教授)

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