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日文研の話題

パリ・シテ大学にて国際ワークショップ「Body as Subject in Religious and Healthcare Spaces A Comparative Perspective with Japan(宗教とケアの空間における主体としての身体—日本との比較の視点から)」を開催しました(2026年3月9日)

2026.05.11

 去る3月9日(月)に、フランスのパリ・シテ大学にて、国際ワークショップ「Body as Subject in Religious and Healthcare Spaces A Comparative Perspective with Japan(宗教とケアの空間における主体としての身体—日本との比較の視点から)」が開催されました。このワークショップは、パリにて、日文研が推進する国際共同研究の一環として計画されたもので、多くの学生、大学院生、研究者が議論に参加しました。

 最初に䑓丸謙氏(パリ・シテ大学)が、身体を研究対象とし幅広く議論を進める趣旨を説明しました。

 午前のセッションは「Human Body as Concept, Practice and Representation(概念・実践・表象としての人間の身体)」と題し、マティアス・ハイエク氏(フランス高等実践研究院(EPHE)・日本宗教学 東アジア文明研究センター(CRCAO))の司会のもと、次の3人が発表しました。最初の発表は、パリ・シテ大学に招聘教授として滞在中であった安井眞奈美(日文研)の「Body Images and Healing in Modern and Contemporary Japan: A Comparison Perspective(近現代日本における身体イメージと治癒―比較の視点より)」で、安井は比較研究の手がかりとして、身体の回復を願って奉納される日本の絵馬と、ヨーロッパや南米の教会で奉納されるエクス・ヴォート(ex-voto)をもとに身体イメージを論じる点を紹介しました。続いてアンナ・アンドレーワ氏(ゲント大学教授)が、「Childbirth in Medieval Japan: Time, Politics, Expertise(中世日本の出産:時間、政治、専門知識)」と題して、当時の日記や絵画、儀礼の記述などから、女性たちが経験した出産の様子を具体的に探っていきました。最後にルチア・ドルチェ(Lucia Dolce)氏(ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)/ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学)は「Body Parts on Display: Vows, Illness and Material Proxies in Japanese Temples and Catholic Churches(展示される身体部位―誓願・病い・物質的代理としての身体:日本の寺院とカトリック教会における比較研究)」と題して、ヨーロッパの教会へ奉納されてきたエクス・ヴォートの事例をもとに、これらの身体に関する奉納物を論じる理論的枠組みを提示し、比較研究に必要な論点を整理しました。

 午後のセッション「Maternity, Religious Landscapes, Healthcare Pluralism in Comparative Perspective(出産・育児、宗教空間、ケアの多元性―比較の視点から)」は、䑓丸謙氏の司会により、午前の発表をもとにしたディスカッションが行われました。まず、クレマンス・ジュリアン(Clémence Jullien)氏(フランス国立科学研究センター(CNRS)/南アジア・ヒマラヤ研究センター)が、インドの出産のフィールドワークをもとにしたコメントをし、マティアス・ハイエク氏は、自身の研究テーマである占いや運の視点から幅広くコメントをしました。そして、身体もしくは身体部位をテーマとして、共同研究のプラットフォームを作ることを目指し、議論を深めました。身体/身体部位をテーマとした議論は、今後、さまざまな場所と機会を通して続けていきます。

 この国際ワークショップは、以下の機関によって共同で開催されました。

  • パリ・シテ大学
    - 東アジア言語・文明学部(UFR LCAO)
    - 東アジア研究大学院(Graduate School of East Asian Studies)
    - 東アジア文明研究センター(CRCAO、UMR 8155)
  • フランス国立科学研究センター(CNRS)
  • コレージュ・ド・フランス(CdF)
  • フランス高等実践研究院(EPHE)
  • 国際日本文化研究センター(Nichibunken)

(文責・安井眞奈美教授)

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