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日文研の話題

研究成果の発信と評価を考えるIRワークショップを開催しました(2026年1月29日)

2026.02.06

 2026年1月29日(木)、国際日本文化研究センター(日文研)セミナー室1を会場に、「研究成果の発信と評価:学術と社会をつなぐIRの役割を考える」をテーマとしたIRワークショップを開催しました。このワークショップは対面とオンラインを併用したハイブリッド形式で行われました。人間文化研究機構本部、国立歴史民俗博物館、国文学研究資料館、国立国語研究所、総合地球環境学研究所、国立民族学博物館、および日文研の教職員、計36名が参加しました。

 今回のワークショップは、「展示」という切り口から、研究成果の発信と評価について考えるものでした。「展示」の形でも、研究は発信されます。人間文化研究機構は展示施設を有する機関もあり、展示施設がない機関も様々な展示の工夫をして成果を発信しています。そこで、研究成果を、どのように社会へ伝え、それをどのように評価へと結びつけていくのかを、語り合う機会を設けました。まず、展示を実際に制作している先生方が実践例を報告して「話題提供」が行われ、これをふまえて、研究・展示・評価の三つの相関関係と、その向上について、参加者が「ワークショップ」で意見交換を行いました。従来のIR関連イベントではIR担当者を中心とした参加が多かったのに対し、今回は各機関の教職員からも多くの関心が寄せられ、研究とIRとの接点を広く共有する場となりました。

 ワークショップの冒頭では、磯田道史教授(日文研IR室長)より開会挨拶があり、その後、孫詩彧(IR室助教)による司会進行のもと、第1部として3名の講師による話題提供が行われました。笹木一義氏(国立アイヌ民族博物館)からは、展示評価を体系的に組み込んだ展示開発の実践について、「探究展示 テンパテンパ」の事例を通して報告がありました。続いて、平井京之介教授(国立民族学博物館)からは、企画展「水俣病を伝える」を事例に、展示評価とIRの現状、そして今後の課題が示されました。さらに、安藤千穂子プロジェクト研究員(日文研)からは、これから鹿児島大学との共催で開催予定の展覧会を研究成果発信と評価の実践として位置づけ、その可能性について報告しました。

 第2部では、磯田教授をファシリテーターとして、ワークショップ形式のグループディスカッションが行われました。参加者は、研究成果を一般市民や異分野の研究者に伝える際の「見せ方」や、その成果をIRデータとしてどのように整理・分析すれば評価に資するのかについて、立場の異なる視点から意見交換を行いました。各グループからは、展示評価の難しさや、多様な目的や対象に応じた評価軸の必要性などが共有され、活発な総合討議が行われました。

 事後アンケートでは、講演内容や議論に対する高い満足度が示されるとともに、研究成果を質的・量的に記録し評価することへの意識の高まりがうかがえました。一方で、オンライン参加によるディスカッションの限界など、今後の活動企画に向けた改善点も確認されました。

 本ワークショップを通じて、研究成果の発信と評価はIR担当者のみならず、研究者や職員一人ひとりの実践と密接に関わるものであることが改めて共有されました。研究者が学術成果をアウトプットする際の参考にもなると期待しております。今後は引き続き、このような機会を通じて、研究とIRをつなぐ対話を深め、機構全体の研究活動の可視化と質的向上に寄与していく所存です。

(文:IR室助教 孫詩彧)

  • 会場の様子 会場の様子
  • 講師の安藤プロジェクト研究員による講演 講師の安藤プロジェクト研究員による講演
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