日文研の話題

　11月15日（土）、「日文研一般公開」を開催しました。

　この催しは、広く一般の方々に日文研の研究活動を知ってもらうことを目的に毎年秋に実施しています。今回は「日本放送100周年　メディアから日本をかんがえよう！」をテーマに掲げ、様々なイベントを行い、総勢574名の来場がありました。

　講堂では、午前に「日文研所蔵音楽作品の演奏」と題したコンサートを開催し、光平助教（日文研）の司会・解説のもと、京都市立芸術大学の大学院生等が、日文研が所蔵する楽譜を使って実際に演奏しました。来場者は、19〜20世紀初めの西洋の音楽家たちが「日本」にインスピレーションを受け、生み出した楽曲の魅力を生の演奏を通じて味わうことができました。また、今年も井上所長によるピアノ演奏が行われ、所長のトークと共に好評を博しました。

　午後には「女性は踊る！ ラジオ・ポッドキャストから聴こえる国際日本研究」と題したトークイベントが開催されました。ゲストとして多彩なステージで活躍するジェーン・スー氏と武田砂鉄氏をお迎えし、音声メディアであるラジオやポッドキャストを手がかりに、日本の女性の「幸せ」をめぐる問題について国際的な視点も交えながら、活発な議論が繰り広げられました。多様な論点が交差するなか、会場は終始、深い共感と新たな気づきに満ちた雰囲気に包まれ、来場者はゲストのお二人と、司会の太田准教授（日文研）の一言一言に、熱心に耳を傾けていました。

　講堂ホワイエでは、「ドラマの中の女性たち──日文研脚本コレクション」、「日本を題材にした西洋の楽譜関連資料」と題した企画連動型の展示が行われ、日文研が所蔵する実物資料等をじっくり鑑賞いただく機会を設けました。

　ほかにも所内各所でさまざまな企画が催され、教員が案内する人気企画「所内案内ツアー」は、各会満員で実施しました。親子でのご参加や、教員との交流を楽しまれる姿も多く見られました。

　セミナー室１では「〜研究者わくわくトーク〜めくるめく本の国際日本研究」と題したトークとポスター発表が行われました。「本」というメディアをテーマに各研究者が発表し、質問タイムには、研究ポスターの前で熱心に質疑応答が交わされる光景が広がりました。

　こども向けワークショップ「和とじ本を作ってみよう！」では、日文研スタッフのレクチャーにより、子どもたちが和とじ本の制作を体験し、生き生きと熱心に手を動かしながら自分だけの一冊を仕上げました。

　さつきホールやその他の展示エリアでは、複数の教員や研究者による研究成果が展示され、来場者が教員に直接質問したり、解説を受けたりするなど、多くの方々でにぎわいを見せました。イベント終盤に開催された「歴史アニメ『日蘭むかし物語』制作秘話」トークショーでは、クレインス教授（日文研）の研究成果の一つであるアニメの制作スタッフが、制作過程での工夫や、綿密な研究に基づいて作画されたこだわりを紹介し、来場者にとって作品の裏側に触れる貴重なひとときとなりました。

　そのほか、妖怪スタンプラリー、ぬりえコーナー、歴史アニメ上映や日文研のマンガコーナーなど親子で楽しめる企画やブースもあり、妖怪おめんをかぶって塗り絵を楽しむ親子や、スタンプラリーのゴールと引き換えで貰える日文研オリジナルグッズを手に取り喜ぶ方々の姿も見られました。

　すべてのプログラムが無事に終了し、今年度の一般公開が幕を閉じました。ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。

• 京都市立芸術大学の学生による午前の講堂コンサートの様子
• 井上所長によるピアノ演奏
• 午後のトークイベントの様子
• 軽妙なトークを繰り広げる登壇者（左から太田准教授、スー氏、武田氏）
• NHK連続テレビ小説『カーネーション』の脚本展示（日文研所蔵）
• 楠教授による所内案内ツアーの様子（図書館円形閲覧室）
• 研究者わくわくトーク「めくるめく本の国際日本研究」の様子（左からホワイト特任助教、榎本教授、片岡准教授、伊東教授、山田教授）
• ポスタートークを行う坂プロジェクト研究員
• 手で触れることのできる展示物について来場者に解説する孫助教
• 展示の解説を行う安藤プロジェクト研究員
• 「歴史アニメ『日蘭むかし物語』制作秘話」トークショーの様子（左からアニメ制作スタッフの三浦技術補佐員、府高氏、クレインス教授）