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日文研の話題

第162回日文研レクチャー "Rethinking Historical Maps for the 21st Century: A Quantitative Perspective on Japan’s "kuniezu"" を開催しました(2023年6月9日)

2023.06.23

 6月9日、Mark RAVINA 氏(テキサス大学オースティン校)を迎えて第162回 レクチャー "Rethinking Historical Maps for the 21st Century: A Quantitative Perspective on Japan’s "kuniezu"" を開催し、オンラインを含めて50名が参加しました。以下は、当日の司会を務めた、エドワード・ボイル准教授(日文研)の報告です。


 Mark RAVINA 氏は、今回のレクチャーで以下の5点を順に検証していきました。

 1. Big data, big visualization

 2. Historicizing territoriality

 3. Tokugawa spatial worldviews

 4. Mapping after borders

 5. Big data visualization

 『旧高旧領取調帳』の明治初期の資料を、どうすれば可視化できるのでしょうか?広範なデータプロジェクトを扱うときの疑問から、このレクチャーが生まれました。つまり、デジタル・ヒューマニティーズのアプローチは、私たちに新たな問いかけを与えてくれる重要なものだと、Mark RAVINA 氏は強調しました。

 4名のコメンテーターも、さまざまな角度からこのレクチャーに寄与しました。Richard PEGG 氏(MacLean Collection)は、19世紀初頭の『大清萬年一統地理全圖』についての研究を取り上げ、「符号化された地名」と地図上の座標の関係性を論じました。Elke PAPELITZKY 氏(ルーヴェン・カトリック大学)は、近世の地図には「地図作成時のあいまいさ」が多分にあったということ、けれどもそうした地図は時間的側面を有していたことを指摘しました。Mario CAMS 氏(オスロ大学)は、west / rest (西洋 / それ以外)の区分がないことについて触れるとともに、異なるマッピングを重ねるとこうした複雑性が表現可能となることに言及しました。最後にMax MOERMAN 氏(コロンビア大学)が、現実には不可視なものを見られるようにしたのが地図であると述べて、Mark RAVINA 氏のレクチャーによって近世・明治の日本への理解が深まったと強調し、方法論を検討することの重要性を示しました。

(文・エドワード・ボイル 准教授)

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