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日文研の話題

第161回日文研レクチャー「自然と建築」を開催しました(2022年12月2日)

2022.12.13

 12月2日、建築家・建築史家の藤森照信氏を迎えて第161回 レクチャー「自然と建築」を開催し、オンラインを含めて61名が参加しました。以下は、当日の司会・聞き手を務めた、日文研・井上章一所長の報告です。


 藤森照信氏には、建築家としての内外にわたる仕事ぶりを、スライド・ディスプレイで、まず紹介してもらった。それらを材料としつつ、井上が文化論的な、また歴史にかかわる質問をよせている。相互の対話をとおし、建築素材の日本、および海外における利用状況を、うきぼりにしていった。

 建築には、自然素材が多くつかわれる。工業化以前の時代は、とりわけそうだった。藤森氏は21世紀の今日にあってなお、自然素材にこだわる。泥、石、木、竹、草を活用する建築家である。設計をつうじ、それらの風土特性と、正面からむきあってきた。また、諸外国における利用状況も、つぶさに見聞している。海外での設計事例も、少なくない。藤森氏の語る風土には、物質的なリアリティがある。世界のなかで草木がどう利用されてきたかを見たうえで、日本の実情を検討する。国際的な展望をたもちつつ、マテリアルに日本文化をとらえなおす。そんな視座を、われわれにあたえてくれた。国際日本文化研究に資するところは、大きかったと考える。(所長・井上章一)

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