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日文研の話題

第2回日文研-京都アカデミック ブリッジ「京と江戸 美の文化学」を開催しました(2021年3月28日)

2021.04.06
 3月28日、京都新聞との共催による「第2回 日文研-京都アカデミック ブリッジ」が、京都市京セラ美術館(左京区)で開催され、抽選による50名が参加しました。
 
 「視覚」を切り口とした独創的な江戸文化論で知られる日本美術史家、タイモン・スクリーチ氏(ロンドン大学東洋アフリカ研究学院教授/東京外国語大学客員教授)を講師に迎え、京都と東京を拠点に活躍する日本画家・松平莉奈氏、日文研の石上阿希特任助教が、「京と江戸 美の文化学」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
 
 当日は、井上章一所長の開会挨拶と、青木淳・京都市京セラ美術館館長によるビデオメッセージのあと、荒木浩教授の司会進行により、スクリーチ氏の基調報告からスタートしました。
 
 東京には通算10年の滞在歴があるものの、京都についてはほとんど知らないと語る英国出身のスクリーチ氏。徳川政権下の江戸(当時は「武蔵」と呼ばれた)が、京への憧憬と劣等感を背景に、「富士山」を一つの象徴とする独自の都市へと創造されていった過程を、『伊勢物語』の歌枕を題材とした江戸期の屏風絵等、多彩な資料から読み解きました。在原業平ら一行が通ったとされる東海道「蔦(つた)の細道」を昨年、実際に歩いたというエピソードも興味深いものでした。
 
 続いて、春画を中心に、近世の出版文化を専門とする石上特任助教は、京の浮世絵師・西川祐信と、その50年後に祐信の図様を借用した江戸の絵師・鈴木春信の対比を軸に、古典の見立や模倣を経て新たな江戸の文化として開花した「東錦絵」について解説しました。

 そして、松平氏は、2018年から今年3月まで国文学研究資料館のプロジェクト「ないじぇる芸術共創ラボ」に参加し、江戸時代の絵手本等の模写を通じて古典籍の新たな魅力を発信しています。今回の催しのために、北斎筆の江戸名所図や、京で出版された「都名所図会」の模写を描き下ろし、実際に手を動かすことで見えた構図やモチーフ、人物描写の特徴などから、江戸と京の相違点を紹介してくれました。
 
 フロアからの質問を交えた後半のディスカッションでは、西洋から入った遠近法が日本画に及ぼした影響、当時の人びとの春画や黄表紙の読み方、江戸の芸術とジェンダーの関係などへと話題が広がり、あいにくの雨模様を忘れるほどに会場での“芸術散歩”は熱を帯びました。
 
(文・白石恵理 総合情報発信室 助教)

 
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