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日文研の話題

第1回 日文研-京都アカデミック ブリッジを開催しました(2020年10月13日)

2020.10.28
 日文研は今年度より、京都新聞社と連携し、研究の蓄積と最新成果を市民の皆様に広く発信することを目的に「日文研-京都アカデミック ブリッジ」を開催することとなりました。
 
 10月13日、その記念すべき第1回目が京都新聞文化ホール(中京区)で開催され、約140名が参加しました。
 
 日文研と提携する京都精華大学からウスビ・サコ学長を、京都市立芸術大学から赤松玉女理事長・学長をお招きし、井上章一所長を交えて「愛と芸術の都を語ろう」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
 
 まず、サコ学長と赤松学長からそれぞれ自己紹介と各大学のご案内をいただいたあと、呉座勇一助教を進行役に、井上所長が口火を切る形でフリーの討論に入りました。京都人について、立ち振る舞いや雅な仕草に美を感じる反面、予想外の心情も見え隠れするので、「かなん、近づかんで欲しい」と思ってしまうと、ユーモアたっぷりに語った洛外出身の井上所長。それを受け、アフリカ・マリ出身で京都暮らしが30年近くに及ぶというサコ学長も、京都の美しさは「見せるのではなく、発見してほしい美しさ」であり、京都人は間接的に自慢したがると指摘。説明が多すぎて、「感じる」ことを許してくれないと、興味深い意見を披露しました。尼崎市出身の赤松学長は、京都の美大生だった当時を「新しい文化と古い風情が入り混じった多層性が魅力で、雑多な文化が面白かった」と振り返り、たとえば京都の美術を歴史的に通覧すると、共通する「洗練」があるのではないかと述べました。
 
 その後も縦横無尽な意見交換が続いたあと、話題は京都の文化を支えてきた「老舗」に収斂しました。京都に集う多くの学生たちが卒業後も住み続け、伝統ある老舗と共に新たなイノベーションを生み出せるような町にするために何ができるか。町の文化と次世代の活力をつなぐ、これからの大学の役割と課題も見えた2時間となりました。
 
 当日は、当初の定員を大幅に上回る参加者数となりましたが、皆様のご協力により、客席、壇上ともソーシャルディスタンスが保たれ、安全に実施することができました。今後も京都市中心部の会場で継続的に開催する予定です。次回の企画にもどうぞご期待ください。
 
 
(文・白石恵理 総合情報発信室 助教)
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