閉じる

日文研木曜セミナー

第270回 日文研木曜セミナー

※本セミナーは新型コロナウイルス感染症に関する今後の状況により、中止となる場合がございます。あらかじめご了承願います。 最新の開催に関する情報は日文研HP(本ページ)でご確認ください。

テーマ

居場所はできたかい?――震災と社会差別、東日本大震災11年

概要

▶ PDFを見る

 2011年3月11日の東日本震災から十一年。しかし、一体、何が解決したというのか。廃炉への見通しがきかない福島第一原発。「おれは田舎に帰還してまだ四年。だから震災四年だ! 」しかも、戻るのは高齢者ばかり。そこに子供たちの笑顔はない。お酒を飲んでは、「生き残った自分が申し訳ない」と涙する老人たち。差別、搾取、そして否認。一体、誰のせいなのだろう。いつから、こんな無表情な人間になったのだろうと恥じ入る。なんのためのポストコロニアル翻訳論だったのか。

 そんな私の心に浮かぶ光景は、 ≪籠のなかにいる鳥を眺める人間の風景≫。しかし、突然、その光景は一変する。《私が鳥、鳥が人間》。いつの間にか籠の中に私がいて、籠の外の巨大な鳥が私を眺めている、嗚呼。

 話の舞台は、宮城県の津波で最大の被害に遭ったと言われる石巻市から始まり、仙台をへて、回復した常磐線に沿って南相馬、第一原発周辺の浪江町と双葉町へ、さらにはいわき湯本へと南下する。沢田研二らの歌声に誘われて、声なき人々の魂の声に耳を傾けよう。死者たちの遺言どおり、希望の灯を点す最後の旅に出るのだ。人間が人間であるために。

参考文献
磯前順一・吉村智博・浅居明彦監修『シリーズ宗教と差別 1~4』法蔵館 刊行中
磯前順一「Without You~あなたのいない世界を生きて」安部智海他
『浄土真宗本願寺派総合研究所ブックレット27――別離の悲しみとともに生きる』本願寺出版 2022年
磯前順一・鈴木岩弓・佐藤弘夫編『<生者/死者>論』ぺりかん社 2016年
磯前順一『死者のざわめき 被差別信仰論』河出書房新社 2015年

発表者   
磯前 順一
国際日本文化研究センター  教授
コメンテーター   
安井 眞奈美
国際日本文化研究センター  教授
司会   
大塚 英志
国際日本文化研究センター  教授

見出しアイコン開催情報

開催日: 2022年03月17日(木) 
参加方法:
申込み要
オンラインで参加される場合、メールにて①氏名、②役職・所属先、③件名に「日文研木曜セミナーオンライン参加申込み」を明記し、3月10日(木)までにご連絡願います。
折り返し、開催前日までにZoomミーティング入室用のURLをお知らせいたします。

メールアドレス:kenkyo*nichibun.ac.jp(*を@に置き換えてください)
場所: Zoomによるオンライン開催
開始時間: 16:30
終了時間: 18:00
参加対象者: 研究者の方を対象(学生を含む)
言語:日本語
トップへ戻る