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基幹研究プロジェクト

国際シンポジウム

テーマ

「国際比較のなかの戦後天皇制―「アメリカ王室主義」の観点から―」
International symposium “The Post-War Tennō System in International Comparison : The Perspective of American Royalism”

概要

 日本の皇室は、現存する世界最古の君主制とされる。だが、それが変化と無縁であったわけではない。古代から中世にかけて、日本の朝廷は外来の文化を摂取してそれを咀嚼し、国制を形作る媒体となってきた。政治的実権が武家に移ってからも、それまで伝来の文化を継承し、それはやがて江戸後期には変革の思想的契機にもなった。明治維新によって王政復古が成し遂げられたが、それによってこれまでの伝統とは異質な主権者としての天皇という像が樹立された。このように、日本の天皇制は、時代の諸局面で異なった相貌を表し、様々な政治勢力や政治理念を結び合わせる役割を演じた。それは、日本の政治社会のなかにあって、「接合域と多面性」のコアとして機能していたと言ってよい。

 天皇制が特に大きく変化した時期のひとつとして、第二次世界大戦後のアメリカ占領期を挙げることに異論はないだろう。この時期、日本の天皇は、大日本帝国の主権者から、安定した民主主義国家の「象徴であり日本国民統合の象徴」へと変容した。この転身は、アメリカ政府が日本皇室を、共産主義の浸透を阻止するために必要な機関として受け入れたことで可能になった。しかし、この「アメリカ王室主義」は日本に限ったことではなかった。歴代のアメリカ政府は、アジア・アフリカの各地で、共産主義の波及を阻止できる防波堤として伝統的な君主制を受け入れ、積極的に支援した。アメリカの外交政策は、単に旧来の制度を維持するだけでなく、これらの君主制に深刻な影響を与えたのである。

 本シンポジウムは、戦後の国際秩序を形成した米国の外交戦略を軸にしながら、日本の戦後秩序の形成に象徴天皇制が果たした役割を国際比較の観点から討議する。そのために、冷戦期のアジア・アフリカ(アフガニスタン、イラン、日本、サウジアラビア、タイ)の君主国・王室/皇室との比較研究を促進し、現代君主制のグローバルヒストリーのなかで戦後と現代の天皇制を捉え直すことを掲げる。この試みは、戦後の象徴天皇制を、他の非西洋圏の君主制と比較しながら探求する初めての試みであり、コンソ加盟機関のドイツ日本研究所(DIJ)のDavid Malitz博士や名古屋大学の河西秀哉准教授らの協力を得て実施される。また日本を専門としていない異分野・異領域の若手を中心とする研究者を広く海外から招いて開催することで、国際日本研究のすそ野を広げることを期す。

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Program

Venue: The International Research Center for Japanese Studies (Nichibunken)
Organizers: The International Research Center for Japanese Studies (Nichibunken) / German Institute for Japanese Studies
Language: English

[ March 26 Day One ]

15:00-15:30

Keynote Speech: Hideya Kawanishi (Nagoya University): What is 'Heisei Ryū’? The Historical Development of the Symbolic Emperor System

15:30-15:45

Q&A

Panel ①

Chair: Kazuhiro Takii (Nichibunken)

16:00-16:20

Thep Boontanondha (Mahidol University): US Royalism in Early Postwar Thailand

16:20-16:50

Fumitaka Cho (Rikkyo University) : A Tour de Force of Public Diplomacy: A Socio-Cultural Context of the Japanese Imperial Visit to the United States in 1975

16:50-17:30

Q&A

[ March 27 Day Two ]

Panel ②

Chair: David Malitz (DIJ)

9:00-9:20

Robert B. Rakove (Stanford): Unlikely Partners: Americans and the Afghan Royal Family

9:20-9:40

Robert Steele (Institute of Iranian Studies, Austrian Academy of Sciences): US-Iran relations and the Shah’s Indian Ocean Policy

9:40-10:00

Karine V. Walther (Georgetown University in Qatar): Kings and Empire: The United States in Saudi Arabia

10:00-10:20

Q&A

Discussion

Chair: Ayako Kusunoki (Nichibunken)

10:40-11:00

Comment: Naotaka Kimizuka (Kanto Gakuin University)

11:00-12:00

Discussion

見出しアイコン開催情報

開催日: 2024年03月26日(火) 
場所: 第1共同研究室
主催: 国際日本文化研究センター、ドイツ日本研究所(DIJ)
対象者: 研究者
使用言語: 英語
お問合せ・連絡先: 国際日本文化研究センター 研究協力課国際研究推進係
E-mail: suishin*nichibun.ac.jp (*を@に置き換えてください)
TEL: 075-335-2075
FAX: 075-335-2092
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