日文研フォーラム

　これまで、日本人移民女性は家族とコミュニティを尊重する移民社会の要として描かれることが多かったといえます。その根底には、近代化に邁進した明治以降の帝国日本における女性の理想像、つまり良妻賢母の思想と実践が海外移民の間でも共有されたという前提があります。
　本講演では、明治期ハワイに移民した日本人男女を中心に、重要な、しかしこれまで十分に検討されることが少なかった結婚と離婚をめぐるいくつかの慣行に光をあてながら、この前提を問い直す作業を行います。