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日文研×読売Bizフォーラム東京

第7回 日文研×読売Bizフォーラム東京

テーマ

文学翻訳を取り巻くダイナミズム ― 谷崎潤一郎から拓かれた翻訳の可能性

見出しアイコン概要

 国際日本文化研究センター(日文研)は2021年度より、一般社団法人読売調査研究機構と連携し、研究の蓄積と最新成果を広く社会に発信するため、「日文研×読売Bizフォーラム東京」を開催しています。
 第7回「日文研×読売Bizフォーラム東京」のテーマは「文学翻訳をめぐる力学、翻訳が拓く可能性」です。

 谷崎潤一郎の有名な作品「細雪」が英語に翻訳された際のタイトルは、「The Makioka Sisters」という全く異なるものでした。なぜ、このようなタイトルになったのでしょうか。
 川端康成、谷崎潤一郎、三島由紀夫など、日本を代表する小説家の作品は海外でも多く翻訳されています。本講座では、英語圏で紹介されたそれらの作品の翻訳の舞台裏ではどのようなことが起きていたのか、人々がよく知る作品を通して、「言語」「文化」など様々な側面から「小説⇔ノベル」の間で起きた様々なダイナミクス(力学)について考えます。さらに、グローバリズムが翻訳に与えた影響についても議論を深めていきます。

 講師は日本近現代文学、比較文学を専門とする新進気鋭の研究者、日文研の片岡真伊准教授が務めます。講演後には、日本比較文学会元会長で東京大学名誉教授・東京工業大学名誉教授の井上健氏と対談を行います。

【講師による講座内容のご紹介】
  第二次世界大戦終結後、川端康成や三島由紀夫、そしてこの度の話の焦点となる谷崎潤一郎の小説が次々と英訳される時代が訪れました。日本の小説は、いかなる流れの中でどう英訳・編集・出版され、英語圏において受け止められたのでしょうか。研究を通して明らかになる翻訳の舞台裏や、その英訳から拓かれた新たな可能性をはじめ、日本の小説の翻訳を取り巻く様々なダイナミズムを、谷崎潤一郎の長編小説『細雪』の場合を中心にご紹介していきたいと思います。
 その後の対談でご一緒する井上健先生は、谷崎潤一郎をはじめ近現代の日本の作家たちの訳業に関するご研究など、長年比較文学・文学の翻訳研究に従事されるとともに、翻訳者としてもご活躍されてきました。日本語から英語への翻訳と英語から日本語への翻訳、双方の専門の立場から、文学翻訳を取り巻く力学や、翻訳と日本近現代文学との関わりなどについて、多様な観点からお話をできたらと思います。
(片岡真伊)

 翻訳という日本語はまず、「和解わげ」(外国文を日本語で解釈)することの意で用いられました。明治日本にとって、西欧の文献を大量かつ迅速に「和解」することは国家的な急務でありました。今日翻訳という概念はその領土を大幅に拡張して、異文化受容や文化コミュニケーションの諸相に広く適用されます。ジャズやロックなど西洋音楽の移入・同化過程も、小説の映画化、アニメ化も、「翻訳」という営みとしてとらえられるわけです。グローバリズムの進行は、こうした「翻訳」の前提や在り様や大きく変えつつあります。それでもなお、いやだからこそ、小説の翻訳に今あらためて光を当ててみることは、「翻訳」をめぐる状況やその本質について、多くの貴重な啓示と示唆を与えてくれるものと考えられるのです。それは何故なのか。戦後の日本小説英訳についての片岡先生の提起を受け、外国小説の日本語訳の歴史も例に引きつつ、皆様とともに考えていきたく思います。
(井上健)

講師 片岡 真伊(国際日本文化研究センター 准教授)
  井上 健(東京大学 名誉教授 / 東京工業大学 名誉教授)
内容 (1)片岡 真伊 准教授による講演
(2)片岡 真伊 准教授と井上 健 名誉教授のトークセッション
(3)Q&A

見出しアイコン開催情報

開催日 2024年03月08日(金) 
場所: YouTubeライブ配信
視聴方法の詳細については、こちらのサイトをご覧ください。
開始時間: 19:00
終了時間: 20:30
申込み:
受講料: 無料
申込み方法: 参加ご希望の方は、以下の応募フォームからお申し込みください。前日までに視聴方法をメールでご案内します。
【応募フォーム】 https://peatix.com/event/3831763
【応募締め切り】 定員に達し次第、締め切ります
定員: 500名
主催: 国際日本文化研究センター、一般社団法人読売調査研究機構
共催: 後援:読売新聞社
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