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共同研究2020年

蜘蛛の巣上の無明:電子情報網生態系下の身心知の将来

ユニット
国際共同研究
研究代表者 稲賀 繁美教授

 吾々は今、電子情報のネット網という「蜘蛛の巣」に囚われている。それはすべてに連絡できるという幻想と裏腹に、「ネット中毒」によって感覚を麻痺させ、「獲物」を雁字搦めに拘束する。そこに囚われた主体は、実際には「無明」に包まれている。それは「ネットカルマ」(佐々木閑)とも命名された。かつては脳に託された知識の蓄積も「雲上」の外部装置に委託され、教育において次世代に継承すべき知識内容も、いまや自明性を喪失している。その一方で、身体を介した実践知は、人工頭脳やロボット技術による置換がきわめて困難な領域として注目されるに至っている。実際、文書化された教科書的手引では伝達できない領域が、身体に埋め込まれる知にほかならない。本研究では「雲」cloudにも譲渡できず、蜘蛛の巣の裡に取り込まれた身体の裡に「無明」として残された領域をどう扱うか、その将来像を模索したい。この課題には文化横断的な国際的知見、学際的な経験交流、実践を無視しない総合性が要請される。
(以下の研究組織は2020年9月15日時点のものです)

研究代表者 稲賀 繁美 国際日本文化研究センター・教授
共同研究員 今泉 宜子 明治神宮国際神道文化研究所・主任研究員
岩井 茂樹 大阪大学日本語日本文化研究センター・教授
鵜戸 聡 鹿児島大学法文学部人文学科・准教授
江口 久美 九州大学持続可能な社会のための決断科学センター・助教
大西 宏志 京都造形芸術大学・教授
小倉 紀蔵 京都大学大学院人間・環境学研究科・教授
尾鍋 智子 桃山学院大学国際教養学部・准教授
加藤 善朗 西山短期大学・教授
金子 務 大阪府立大学名誉教授
申 昌浩 京都精華大学人文学部 総合人文学科・教授
莊 千慧 神戸女子大学文学部国際教養学科・講師
滝澤 修身 長崎純心大学人文学部・教授
竹村 民郎 元大阪産業大学教授
多田 伊織 大阪府立大学・客員研究員
土居 浩 ものつくり大学 技能工芸学部・教授
戸矢 理衣奈 東京大学 生産技術研究所・特任准教授
平倉 圭 横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院・准教授
堀 まどか 大阪市立大学大学院文学研究科・准教授
松井 裕美 神戸大学国際文化学研究科・専任講師
松村 薫子 大阪大学日本語日本文化教育センター・大学院言語文化研究科日本語日本文化専攻・准教授
村中 由美子 白百合女子大学・講師
藤貫 裕 京都大学文学研究科・非常勤講師
Frederik CRYNS 国際日本文化研究センター・准教授
石川 肇 国際日本文化研究センター・助教
松木 裕美 国際日本文化研究センター・助教
光平 有希 国際日本文化研究センター・特任助教
根川 幸男 国際日本文化研究センター・プロジェクト研究員
飯窪 秀樹 国際日本文化研究センター・客員准教授
鋳物 美佳 国際日本文化研究センター・博報日本研究フェロー
春藤 献一 国際日本文化研究センター・博士研究員
君島 彩子 国際日本文化研究センター・博士研究員
陳 イジェ 総合研究大学院大学国際日本研究専攻・大学院生
二村 淳子 国際日本文化研究センター・客員准教授 / 鹿児島大学教育センター・講師
海外共同研究員 Dennitza GABRAKOVA Victoria University of Wellington・Senior Lecturer
近藤 貴子 Leiden University Faculty of Humanities
Mitsuyo Delcourt-Itonaga 通訳・翻訳者
片岡 真伊 SOAS University of London・Senior Teaching Fellow in Translation Studies
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