テング 1993年 栃木県 下野国宇都宮の成高寺の第4世祥貞和尚のもとへ、ある時修験者来て手を貸してほしいといった。持って行かれると困ると言ったら、貸すと言ってくれるだけで良いという。そこで貸すことを承諾すると、それ以来手がちじまって伸びなくなった。1ヵ月後に修験者が再びやって来て、手を借りた謝礼に火防の銅印を置いていった。
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カラステング 1932年 家康の頃、力持ちの和尚のところに大敵と勝負をするので和尚の右腕を貸せという天狗がきた。切るには及ばず、ただ貸すといえというので、貸すというと、右腕の力のみを借りていった。7日後、天狗は力を返しに来て、お礼に天狗の爪をくれた。
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テング 1936年 福井県 いい手の筋をした久左衛門という男のところへ、天狗が手の筋を借りにきた。天狗は、貸しに来たお礼に、豆1粒を置いていった。ある年、大火事が起こって近隣は燃えたが、久左衛門の家だけは燃えなかった。
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テング 1933年 長野県 ある日、婆が山で薪をとっていたら、天狗が現れ手紙を頼まれた。天狗の言うとおり目を瞑ると、体が浮き上がるようになり、目を開けると別の天狗がいた。手紙を渡してから同じようにして戻った。手紙を渡したお礼に天狗は村の火事から婆の家を守ってくれた。
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テング 1959年 福井県 天狗の投げ筆という宝物がある。300年程前に字の上手な医師がいた。あるとき山で白髪の老人に「二三日手蹟を貸してくれ」と言われ、請け負うと二三日は惚けていた。老人は天狗であった。その礼に貰ったもので、火伏せになるという。後に貧乏になって軸は他家に渡った。渡った先の家が火災にあったときは、掛け軸だけが抜け出して焼け残った。他家に渡ったから火伏せの力がなくなったという。
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(ゼンヲカシテクレルバショ),テング 1978年 石川県 貧しいものが法事をしたくてもできないときに明神壁に行くと膳を貸してくれた。「どうぞお願いします」と言って帰ると、家に膳があった。ある時、ある家が借り、そこから一組もう一件が借りて一組足らなくなったときから貸してくれなくなった。天狗が金持ちの家からこっそり借りていたが、それ以来見張りが厳しくなったからだという。
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テングサン 1983年 山梨県 天狗さんという人は急にいなくなって立派な成年になって帰ってきた人だ。その天狗さんが駄賃つけに馬を引いていって、須走の食堂でお金を持っていなくて貸しておいてもらいたいといったが、食堂のお婆さんに怒られた。そこで、外に出て天に向かってお金を貸してくれといったら、天からお金が降ってきたので、お婆さんはびっくりしてお金を取れなかった。
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リュウ,テング 1974年 香川県 讃岐国の万能池にすむ竜が小蛇の形になっていた時、比良山の天狗が鵄の形となって持ち帰って洞内に閉じこめた。そこには一滴の水もなかったので竜はどうすることもできず死にかけていた。しかし天狗がまた一人の僧を拉致してきたが、その僧は手水をつかうところで水瓶を持ちながら洞内に入れられたので、竜がその水一滴を得て天上し、僧を元の房に帰したという。
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カッパ,ガタロ 1950年 三重県 三重県・永泉寺の和尚が愛馬を番太淵のそばに繋いでおいたところ、大声で嘶いて寺門に駆け込んできた。見ると左足に河太郎がつかまっている。捕えて馬盥に伏せ、3日間訓戒を与え解放した。2日後、夢に老婆の姿で現れ、今後、村人を守護すると誓って消えたという。
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ライ 1915年 兵庫県 ある時、寺の井戸に雷が落ちた。和尚が井戸に蓋をしたため天井に昇れなくなった。雷は陳謝し、桑原には永久に落ちないと約束して、その証拠に手形を記して許された。それ以来、雷は桑原と聞くと他所に鳴って行く。その寺では猫の手のような墨の痕がついた古い紙を大切に保存している。
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テング 1972年 石川県 天狗に騙されて連れて行かれ、弟子となって修行した男が、33年目に帰ってきた。その男が雑木原を燃やす時、天狗さんの水縄といって、畑の周りを指で書くと、延焼せずにそこで火が消えてしまう。その時、天狗の使者の鳶が鳴き、天狗の親方であるミナカミの旦那が現れる。
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エンコウ 1997年 愛媛県 お寺の和尚が淵の傍の梶株に馬を繋いでおいていた。すると、馬が梶株を引っ張って戻ってきた。和尚が梶株を切ろうとしたら、梶株は猿猴になった。猿猴が化けていたのである。猿猴は命乞いをし、証文を書いて帰った。
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テング 1932年 富山県 文久の頃、越中の下新川郡大家庄村の光栄寺という寺で、燃えているものもないのに炎が見えることが続いた。そして天狗が大杉に隠れているという噂が広まった。そして畳をはがして積み上げたり、雨戸を一度にはずしたり、風呂を中に浮かせたりした。女のような声で紙を出せ、筆を出せと聞え、出しておくと字を書いてくれるという。
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テング 1988年 群馬県 天狗は修験道と関係がある。法印が呪力によって護法や鬼のようなものを使役するという理解があり、天狗もその一種として受けとめられたのであろう。伝説の末尾は例によって椀をひとつ返さなかったために膳椀を貸さなくなったと結ばれる。
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テング 1950年 埼玉県 山の中のある洞窟に昔天狗が住んでいて、村人が頼むと酒宴に必要な縄、ホラ貝、椀、膳を貸してくれたが、あるとき村人が壊してしまって返さなかったところ、それ以後は頼んでも貸してくれなくなった。
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ヤマイヌ,バケモノ,タヌキ 1990年 長野県 伊那にある寺の縁の下に山犬が子を5匹生んだ。和尚はこれを大事に育て、そのお礼に1匹を貰って早太郎と名付けた。そこから遠方に天神宮があった。そこの祭りでは、毎年娘を天神様に差し出さなければならない決まりがあった。3匹の化け物が毎年差し出された娘を喰らっていたのだが、これを知った神主は早太郎を探し出し、化け物退治を依頼した。化け物はこうのついたたぬきであった。早太郎は3匹の化け物を倒したが、自らも死んでしまった。死後、早太郎は和尚の寺に祀られたという。
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テング,ライジンサマ 1976年 栃木県 雷電神社がある天狗山に1人の天狗が住んでいた。その天狗は人々に自分が寝ているところを絶対に見るなと言っていた。ある村人が覗いて見ると、天狗は座敷いっぱいに羽根を広げて寝ていた。寝姿を見られた天狗は、「俺が丈夫なうちはここらに雷やヒョウは降らせない」と言ってどこかにいってしまった。それからというものこの地区には雷やヒョウの害がないと言う。その天狗は雷神様だったという。
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カヤカケスギ 1976年 愛媛県 ある日観念寺の鉄井和尚が小僧に、「天竺に大火事がおきているので、裏山に水をかけてくれ」と言った。2,3日後和尚は、「水をまいてくれたお陰で火事がやんだ。お礼に品物を送るので高須の浜へ取りに来い」と小僧に言った。浜では箱が流れ寄ってきた。帰りにその箱を開けると、蚊帳が舞い上がった。その蚊帳は瑞巌寺の大杉にかかっていた。
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テング 1950年 埼玉県 弱虫の男が日和田山の金比羅神社に住む天狗に毎晩願を掛けた。九日目に天狗は男をいろいろ驚かそうとしたが、男はがまんした。夜が明けると男は力持ちの豪傑になっていた。
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ヤマノヌシ,テング 1973年 山梨県 大和田山で杣が仕事していると1人の小僧が相撲を取ろうと言う。仕方なく相撲を取ろうとすると山の上から「そんなものと相撲を取ると死んでしまうぞ」と声がする。その声に驚き杣が相撲を取らずにいると小僧はどこかへ行った。小僧は山の主(天狗)が化けて出たものである。
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