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怪異・妖怪伝承データベース
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データベース概要

目的

本データベースは、民俗関係の調査などでこれまでに報告された怪異・妖怪の事例を網羅的に収集して、その全体像を把握するとともに、データベースとして構築することで検索性を高めて、世界の研究者や一般市民にむけて広く公開することを目的にしている。 データベースが本来有する情報検索上の利便性により、将来的には怪異・妖怪伝承の数量的な把握に基づく分析・研究の活発化が期待される。

製作基盤

本データベースは、以下の研究助成金等に基づいて作成された。

・平成11〜13年度科学研究費補助金基盤研究(A)(1)「日本における怪異・怪談及び妖怪文化に関する総合的研究」(研究代表者:小松和彦・国際日本文化研究センター・教授)
・国際日本文化研究センター 平成13年度リーダーシップ支援経費
・平成14〜17年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)「怪異伝承データベース」(研究代表者:小松和彦・国際日本文化研究センター・教授)
・平成15〜18年度科学研究費補助金基盤研究(A)「怪異・妖怪文化資料を素材とした計量民俗学の構築と分析手法の開発に関する研究」(研究代表者:小松和彦・国際日本文化研究センター・教授)

収録データ

本データベースに収録された怪異・妖怪伝承の事例データ件数は2023年4月現在で35,255件である。データを採取した書誌としては、竹田旦編の『民俗学関係雑誌文献総覧』(国書刊行会、1978)(以下『総覧』)に記載された民俗学雑誌を網羅することに加えて、『日本随筆大成』第1期〜第3期(吉川弘文館、1975−78)(以下『大成』)、民俗編のある都道府県史、柳田國男『妖怪名彙』からも怪異伝承を採集することにした。これによって、近世から現代の怪異伝承の事例を、幅広く集めることができるのではないかと考えている。

収録データの内容は上記の書誌において報告された怪異現象1件ごとに作成されたカード(貼り付け事例)に採取された情報をもとにしている。カード化の対象とした事例は「はなし」(伝説・世間話・体験談)などの調査報告にあらわれる怪異現象であり、昔話は原則として省いている。このカードには怪異の呼称や、怪異が報告されている文献の書誌情報、そして怪異現象の概要を100字程度にまとめた要約などが書き込まれており、文献の該当個所のコピー(貼り付け事例)が貼り付けてある。

利用

一般的な検索方法である全文検索のほかに、複雑な民俗呼称を有する怪異・妖怪を検索できるように呼称検索を用意している。なお、ヒット件数が括弧内に示される。

【全文検索】
任意の言葉を入力して検索すると、すべてのテキストデータ(呼称・出典・話者・地域・要約)のなかから、その言葉を含む事例データが一覧表示される。ただし、検索はJIS第2水準内の文字に限られる。

【詳細検索】
貼り付け事例の項目ごとに検索し、その言葉を含む事例データが一覧表示される。複数の項目を指定した場合は、AND検索になる。

【地域検索】
「呼称検索」と「代表的な怪異・妖怪の呼称からの検索」において、地域を限定して検索することができる。

【呼称検索】
特定の怪異・妖怪の呼称を入力して検索すると、その言葉を含む怪異・妖怪の事例が一覧表示される。さらに、カタカナで入力された場合には、その呼称に類似した呼称を持つ怪異・妖怪をも一覧表示できる。

【呼称一覧】
怪異・妖怪の呼称の一覧から呼称を選択すると、事例が一覧表示される。さらに、その呼称に類似した呼称を持つ怪異・妖怪をも一覧表示できる。

【代表的な怪異・妖怪の呼称からの検索】
数多く報告されている怪異・妖怪の呼称から探すことができる。ここでは、「カッパ」「ガッパ」などの、語法による表記のゆらぎがあっても同じ怪異・妖怪として検索することができる。ただし、「カワタロウ」「エンコ」のように表記が大きく異なる場合は、「カッパ」には含めていない。

凡例

【番号】
上3桁が書誌番号を示す。雑誌の場合は雑誌番号、随筆の場合は随筆番号を指している。雑誌番号は『総覧』の目次順に付した。『総覧』に記載されていない継続前誌は、同一番号を付している。『総覧』以降に名称変更された継続後誌のうち、収集事例があったものについては新たに雑誌番号を付け加えた。随筆番号は『大成』の目次順に付した。

【呼称】
原則として、貼り付け事例からそのままの呼称を記入した(一部、用言を名詞化して呼称とした事例あり)。話者・執筆者で表記が異なる場合、一つに限定しがたい場合など必要に応じて複数書き込んだ。カード作成者による命名はしないことを原則とした。複数の事例をカテゴリー化して扱った場合には、例えば(俗信)というように(  )を付した。原則として、旧仮名遣いは現代仮名遣いに、旧字は新字に改めた。難読文字についてはヨミを付した。

【出典】
[書名・誌名]に関しては、旧字を新字に改めた。随筆の場合は、随筆名と『大成』の収録巻号を記入した。[巻号/通巻]に関しては、巻号と通巻の表記を併用している場合はどちらか一方で統一した。ただし、年次を追って基準の変化しているものにおいてはその限りでない。[掲載頁]に関しては、復刻版が出版されている場合においても、できるだけ原本版の巻号・頁数を記入した。パンフレット形態で頁打ちのない場合は、表紙を1頁、裏表紙を最終頁として頁数を決定した。ただし、原本閲覧が困難な場合には、復刻版の頁数を採用している。[論文名]も旧字は新字に改めたが、[執筆者]は原則として字体はそのままにした。[発行年月日]は原則として奥付の情報を記入し、元号と西暦を併記した。原本が誤りとみなされる場合は、貼り付け事例欄などに注記した。[発行所]に関しても、原則として奥付情報を記入した。

【話者(引用文献)】
貼り付け事例に記されている怪異・妖怪現象を語った人物、または記載した書物を記入した。

【地域】
貼り付け事例に記述されているものを記入した。都道府県名については、記述のない場合でも判別可能な場合は記入した。

【要約】
貼り付け事例からピックアップした民俗語彙や特徴、行為、怪異・妖怪現象の本質などを、100字程度の文章形式にまとめたもの。なお、データには現在の観点からみて不適切と判断される表現も含まれているが、データの資料性を重視して、貼り付け事例に従って表記した。

【類似事例】
機械学習を使って、表示された事例と似た事例を検索する。

【貼り付け事例】
カードには、原文からの該当部分のコピーを貼り付けている。貼り付け事例画像は、著作権上、公開していないが、研究目的などの使用に限り、国際日本文化研究センター内部の端末から見ることが可能である。

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