イシ 1978年 広島県 太郎左衛門という男は毎年安芸の宮島に詣っていたが、その帰り、船の中で袂に手を入れてみると小石が入っていた。海に投げてもまた入っている。夜に明神様が枕元に立った。村人はこの話を聞いてその石を祀った。この石は元は袂に入る小石であったのが、今は高さ一尺七、八寸、まわり二尺二、三寸にもなった。
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イシガミサン 1985年 香川県 志々島の阿部次郎左衛門という人が沖で網をうっていると、石がかかった。捨ててもまた網にかかることが二度三度続いたので、海に返さず筏石の上に置いた。その石が、夜になると、吉田へいこう、と夜泣きした。そこで吉田に運び、石神さんとして祀った。
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ホタテイワ 1979年 岡山県 昔浜中の竜王山に八畳岩があり、遠くから見ると帆掛け舟のように見えたので帆立て岩といわれた。あるときこの岩を割りかけたところ、その割り口から真っ赤な血が流れ出し、石工は仰天して逃げ帰った。その後農道改修に使われ姿を消したが、そのたたりを恐れてお神酒を供えた。
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イシガミジンジャノイシ 1977年 神奈川県 石神社の境内にある堅石は、もともと由比ガ浜の沖に沈んでいたものである。この浜では毎年溺死する者が跡をたたなかったが、寛政3年9月のある夜に海面が光り輝いたので、村人がこの石を引き上げ、石上神社に祭ったのだ。以来、ここで溺死する者がなくなったのだと言われている。
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キラキラヒカルモノ,ユメマクラニタツ 1989年 山梨県 タカギシゲンザエモンという人が、猟をしにいき、池太神の池の周りを歩いていたら、水面にキラキラ光るものが見えた。「魔物じゃあうち殺す、神ならこの矢にけってとまれ」というと止まった。家に帰って寝たが、屋鳴りがして怖い。夢枕に立ったので、東山の大家のロクベエさんとキタナカムラの人と有志の衆の3人でヨーゴー岩という大きな石の上に置いて祀ってきた。そしたら夢枕に立って、「俺はまだ8町行ったところだ」というので、行ってみると大きなお池があったのでそこに祀った。
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カミサマ 1985年 福島県 屶振に住む人のおじさんが10月17日に神様にお返しをするのを忘れてしまった。するとその人が山の上に行こうとすると狼が出てきて頭の上を飛んで行けなくなったので、大きな石に山の神と書いて1里ほど離れたところにおさめて神様におわびした。この石は今でも残っている。
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アマンジャク 1979年 徳島県 忌部(いみべ、いんべ)の神があまんじゃくに命じて立石山へ大石を運ばせた。あまんじゃくはあまりに苦しいので、鶏の鳴き声が悪いと言って、石を3つ重ねたままどこかへ行ってしまった。それが平野に残る三つ石として残っている。あまんじゃくの石と言われるものも残っている。
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テンセイ,レイセキ 1976年 東京都 隣家のものが珍しい石を得て、宮を造り勧請した。来歴を聞くと、35年前の文政7年に川掛役人が遠州天竜川御用のときに丸い石を見つけたので持って来たと言う。当時は差し渡し6寸5分であったのが、差し渡し1尺4寸8分、回り4尺1寸8分に成長した。ある人がいうには、これは生きた石であり、竜石であるという。
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ムラサキイシ 1956年 宮城県 東宮明神の名石。昔、2人で舟に積んで持ち出そうとしたが、舟が動かず捨てる。成長するといわれ、今は10人でも動かせないという。
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イシ 1967年 福島県 昔ある人が出羽三山巡りをした際、大変綺麗な石があったので持ち帰り神棚に上げておいた。はじめはダチョウの卵くらいの大きさで重くもなかったが、日に日に大きくなったので驚いて氏神社に祀り御飯などを上げていた。その後も大きくなり続けたが、持ち主が死んだら石も死んだのか大きくならなくなった。
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ケイセイイシ 1916年 福岡県 山道の傍らに長さ7尺ばかり幅4尺ばかり高さ3尺ほどの石があり傾城石と呼ばれている。昔、傾城が京都から男を訪ねてきて石になったのだという。そのため、石の上に女が乗っても動かないが、男が乗ると自然に動くという。
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オニ,イシ 1990年 長野県 かや場に長さ1.5メートルほどの石が立っている。これは八面大王が矢沢山に住んでいたとき、これを退治するためにかじ屋が道具をあつらえていたのを邪魔するために鬼が大きな石を投げてきたのがささっているのだという。坂上田村麻呂が切れ味を試したともいい、上から30センチほどのところに跡が残っている。
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タイコ 1976年 徳島県 後光厳院の御宇、康安元年の夏秋の間に大地震があり、7月24日に急に潮が乾いて陸になった。この時鳴門の岩の上に周20尋程の大太鼓が現れた。胴は石で面は水牛の皮、巴紋を描いて銀の泡頭釘が打たれていた。これを見た人は皆怪しみ驚いた。試みにこの太鼓を撞木で叩いた所、音が天に響き、山が崩れ潮が湧き出、皆逃げ去り太鼓の場所がわからなくなった。
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ライジュウ 1967年 福島県 享保年中、大聖寺の門内の小社で、天に登れなくなった雷獣を、院主が竿を地面に差してやり登らせた。建廟がこれを聞き、奇異のことだとして社領1石を与えた。
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イシ 1960年 北海道 釧路築港工事の際、石工がアイヌのピンネカムイシュマ(男神石)に発破用の穴をあけようとしたところ、うんと一声うなって倒れ、3日後に狂死した。そこでアイヌにカムイノミを、和人の神主にお払いをしてもらい、神石の頭部を大切に割り出して厳島神社に納めた。
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イシガミサン 1978年 広島県 伊勢参りの旅人が岩の上に忘れた包みを村人が見つけ、捨てたが、翌日同じ岩の上に上がっており、それが数日続いたので中にあった包みをあけると玉串が入っていた。それを神体にして岩を祀った。その後、石屋がのみで割ろうとしたら真っ赤な血が出た。この石は毎年大きくなり、天上の高さまで伸びた。
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ヘビ 1931年 長野県 ある男が日山へ行って2束のしばを刈り、運ぶときに重みを平等にするために、石をおっかっていた。その石を庭に置くと、日一日と大きくなり、蛇のように見えたので蛇石様として祀った。
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カミサマ 1989年 山梨県 昔タカギシゲンザエモンという人が、池太池へ猟に行った。弓で射っても弓が当たらないので、「マユミのものじゃあなぁ、この弓とまれ」といったら、神様がとまった。うちへ連れてきて置いたら屋鳴りがした。それで、夢枕に人が立って、「仏祀れ」といわれたので、オミョウジンサマに祀った。そうしたら、まだ「ここじゃねぇ」という。「ここから1里8町」というので、七面山にヨーゴー石というのがあり、そこへ祀ったら、まだ「8町むこうだ」といった。
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イシ 1929年 大分県 倉木山の麓に2丈余りの巨石がある。昔、村人がある所から帰るとき、草履にはさんだ小石が取れず、不思議に思い、袂に入れて持ち帰った。袂から出すと鶏卵程の太さになっており、驚いて石を山の麓に置くと、年々太り今のようになった。
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〔センビキイシ,チビキイシ〕 1956年 宮城県 多賀国府があったころ、この里に住む女に通う男があった。近くに大石があり他所へ運んで砕かれることとなったが、男はその大石の精であった。運ばれていく前夜、男は女に別れを告げ「明日は何百人で引いても動かぬが、あなたになら引かれよう」という。はたして動かない石を「わたしがひく」と女が申し出る。気狂いに引かせるのも面白いと女に引かせると軽々と動く。女は国府から褒美をもらって幸せになる。これを千引石といい、志引観音堂の丘の下の田に残る。
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