ヘビ,タタリ 1959年 鹿児島県 大正年間のこと、この部落に住んでいる者が1匹のガラガラ蛇を殺した。珍しいものだったので、小学校に寄付し標本とされた。それから間もなくして、小学校で原因不明の火災があった。数日後、ヘビを殺した者の家もまた火事になった。佐太婆さんと呼ばれる物知りによると、これは殺した蛇の祟りであり、蛇は小学校の敷地にあった寺の住職の亡霊だという。そのため蛇を綺麗に洗い埋葬した。しかし、それからしばらく部落では子供の数が増えなかった。
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ムジナ 1933年 長野県 夜更け、安国寺のお堂の戸を叩き「こんばんは」といって起こす者がいた。けれども戸を開けても誰もいない。同じことが毎晩あった。ある晩、声がすると同時に戸を開けると、狢が屋根の上に跳び上がっていった。
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イイヌマノテンジン,シンドノトガメ 1973年 茨城県 浅草報恩寺は元々下総国飯沼にあった。法然の弟子だった性信が、この寺を建立した年の冬に老翁がやってきて、法話を聞いて感動し、自分は飯沼の天神であることを告げる。そして師のために長く擁護するといった。また天満宮の禰宜の夢に出て、師恩の為に鯉2匹を備えさせた。後年、禰宜がそれを怠るとその年の祭礼で、大木が折れたり池の鯉も絶えた。これは神怒のとがめと言われた。
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ガマ,ヘビ 1974年 東京都 文政3年11月中旬、ある夫婦が東叡山根岸の弁才天の祠に参詣した。その夜に、下男の夢に蝦蟇が現れた。台所の流しの下に住む癩蝦蟇だと言う。今日参詣した際同道した婦人の月の障りの為にそこに住む蛇の行法が破れた。その蛇が仕返しに来るが守ってやると言った。翌日流しを見ると大きな蝦蟇が死んでいた。主人の夢の中に蝦蟇が現れ、自分は死んだが、数々の種を残したので、なお主人の家を守ると言った。翌日の夜、今度は蛇が現れて、自分もこの家を守ると語った。
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キツネ 1974年 京都府 西山御坊を建立しようと場所を買った。そこは狐が多く住む所で、その巣穴を掘り返し地取をした。門主がその地を見分に来たが狐にだまされ帰路深田の中を歩かされた。御堂も焼失することがあり、狐のしわざと言われた。
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オンネン 1974年 群馬県 上野の国吾妻の郡、猿が京で、老媼の衣服に火がつくが衣服は燃えず、けがは腕に五分ほどのあとがあるだけで、老媼が厠へ行くと火の気がないのに出火して厠のみが消失したり、火が燃え移って27軒の家が延焼したりした。老媼が若いころ、その密夫と間違えて姑を殺したため処刑された婿の怨念のためであった。
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ヘビ 1959年 福井県 700年ほど昔、海山の寺を建てるときに、大工と女中とが懇ろになり、子ができた。女はお産の後を見てくれるなと言ったのに大工が覗くと、女は大蛇で、大工は逃げた。女は大工の朋輩に子供を託し、自分の両眼球を乳代わりに与えた。寺大工と一緒になって成仏しようと思ったが叶わなかった。しかし自分の前世の罪が滅びたとき、寺の椎の木に実がつくので、見届けて欲しい、と言い残した。その椎の木は花は咲いても実がならなかったが、昭和30年ごろ実がついた。蛇女が成仏したのだろう。
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ムジナ 1935年 新潟県 越後の中里駅から駅前の広い路を行って小さい道に右折すると小さい寺が田んぼの中にある。ある雪の晩に寺が火事になり、村中が集まった。しかし焼け落ちかけていた寺は、近寄ると何事も無く建っていた。翌朝村人は、大きな穴、つまり「貉の穴」を見つけた。人々はそれ以来、貉を恐れた。寺の火事もこの貉の仕業といわれていた。
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ダイジャ 1966年 福島県 江戸末期、山幸神社の前に洞のある大杉が立っていて、恐ろしい唸り声がしていたが、山幸神社の神様である老婆が杉葉を洞に投げ入れると、雷が落ちて三日三晩燃えつづけた。焼け跡からはシオビキのナカツプシ位の蛇の骨があった。
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カイカ,ボウコン 1957年 愛知県 寺の僧が子を作り、その子を殺して井戸か床下へ捨てた。その亡魂であちこちから怪火が出て、寺が全焼した。
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ダイジャ,アクリョウ,カンノン 1974年 東京都 姥ヶ池というところに一軒の家があり、姥とその娘が住んでいた。姥は旅人を泊めて殺しては衣裳をはいでいた。ある日浅草観音が笛を吹いて、旅人に危険を知らせ、旅人は助かった。また、浅草観音は姥が地獄に落ちるのを憐れんで、児の姿で姥を訪ね、姥は児と誤って娘を殺してしまった。その後母は池に身を投げて大蛇となったが、神にして祝ってその悪霊をなだめると守りの神となって、諸々の病をしりぞけるようになった。大蛇と化したが供養により守りの神となった。
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テング 1995年 和歌山県 度重なる火災で仮の堂になっていた法燈寺に、杉の坊という旅の僧が泊まった。その僧に寺の建立を依頼したところ、杉の坊は天狗の大親分で、配下の天狗を引き連れて一晩で七堂伽藍を打ち建てたという。
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アマノジャク,コウボウダイシ 1958年 岐阜県 弘法大師が双六へ来たとき、アマノジャクと一夜でお堂を建てる賭けをした。朝までにお堂が建ちそうになったので天邪鬼が鶏の鳴き真似をし、「もう夜明けだ」とおどかしたので、弘法様は怒って積んであった材木を石に変えた。それが天然記念物の材木石。
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オオケムシ,オオボウズ 1922年 京都府 嘉永7年に起きた御所の火事の原因。下女が風呂の湯をわかしているとき毛虫を竈にくべると、そのけむりが緋の法衣を着た大きい坊主となって屋根から屋根へとびまわり、そこから火がついた。
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ヘビ,カエル 1937年 兵庫県 蛇が嫁に来ると聟がだんだん悪くなる。そこへ六部が来て、「鷺鳥が巣を作っているから嫁が上がれば助かる」という。嫁は蛇の姿に戻り卵を取りに行って鷺鳥に喰われてしまう。六部は蛇に喰われそうになっている蛙を助けたものが化けたのだという。
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イジュウ 1974年 京都府 延宝年間のこと、京の南にある吉祥寺村で、吉祥天女のご開帳があるというので、近隣の村々から六斎念仏を行う者が多く集まった。その彼らが打つ鐘や太鼓の音を恐れたのか、怪獣が出てきて、ある百姓の家の縁の下にかけ入った。それを生け捕りにすると、顔は狸に似て、鼻から額まで黒く、うなじは白い。さらに背は黒く、腹は白く、徳利のような丸い尻をしており、尾はなくて前足はモグラのようで、後ろ足は長く犬のような獣だった。餌は串柿だけ食べたという。
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オニ 1979年 岐阜県 天暦年間の事。鬼が瓢岳に棲み付き、村人を苦しめたので勅命で藤原高光が退治にきた。鬼は姿を巧みに隠したので高光は瓢岳と高賀山に6つの社を祀り、虚空蔵菩薩からお告げと白羽の矢を受けて鬼を射止めた。鬼の首をはねた刀を洗ったら鰻に変じたので、虚空蔵菩薩のお使いとして、この村では鰻を食べない。この鬼の首が念興寺にあり、持ち出すと天が荒れるといわれている。
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キツネ 1976年 滋賀県 正念寺という一向宗の寺に狐が住んでいた。人の目には見えず、寺を火災から守り、住僧が他出の時には守護してついていくという。ある時住僧の草履に物をのせた者があったが、帰ってから物陰から人語をなして、吾が草履の上にいたのに、物をのせられたと大いに怒った。住僧は、人の目に見えないのだから仕方が無いことであると言ってそれをなだめた。また、狐憑きの事を寺が頼まれた時に、災いをなすのは野狐であると答えた。また、官を進むために金が入用であると、賽銭箱からこぼれた金を集めていた。
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レイジャ 1983年 愛媛県 安楽寺は昔淵であったが、そこに霊蛇が住んで庶民に害をなしていた。嘉元二年に宇都宮永綱がその蛇を射止めたが、その霊蛇が祟りをなすようになった。そこで嘉暦元年、その淵の半ばを平げ、大小二つの池を掘り、精舎を草創して霊蛇を断した。
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イケノヌシ,ダイジャ 1984年 新潟県 長福寺のおとわという下女が奥山に蕗を採りに行き、腰巻を汚す。それを洗っていると、池の主が現れ、池で腰巻を洗った者は自分の女房になる掟だから3日後に迎えにいくという。おとわは床についてしまうが、主の大蛇がやってきて、おとわを渡さなければ大水を出すといい、とうとう池の主に嫁ぐ。数日後に池の中央に浮島ができており、それはおとわが池に住み着いたしるしだといってその池を「おとわ池」とよぶようになり、旧6月23日はおとわが嫁いだ日だといって、村人は池に供物をする。
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