ヨナキイシ 1970年 滋賀県 天人が余呉湖で水浴びをしていたとき、桐畑太夫が衣を隠して、天人を嫁にした。2人の子ができたが、天人は子守娘の唄から衣の場所を知り、天に帰ってしまった。子守は子を石の上に放って帰った。赤子が泣いたらその声が読経の声であったので、菅山寺の住職はその子を連れ帰って育てた。それが後の天神様。この石はその後も夜毎に泣いたので夜泣き石といわれ、耕地整理で動かそうとしたら祟りがあった。
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テンジン 1961年 静岡県 桜の開花のとき、天人が供養のためにその下におり集まる。
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ケンナンサイナンヨケノモジ 1982年 和歌山県 紀伊国に住んでいた男は弓を射るのが好きで、常に百発百中であった。しかしある時鶴を射たが当たらず、2射目もはずれた。不思議に思った男が鶴を捕らえて見てみると羽に文字が書いてあった。その文字を他の鳥に付けて矢を射ると、やはり一矢も当たらなかったので文字の守りなのだろう。この文字を所持する時は剣難や災難はないらしい。
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フドウミョウオウ,テンジン,ハゴロモ 1967年 福島県 三浦左近国清という人が太田村別所に住んでいた。世継ぎが無いことを憂い、馬場村の滝不動に美しい妻が得られるようにと祈願した。すると夢に不動明王が現れ、現世には配すべき女がいないので、五台山の奥の池で天人が水浴びをしてるゆえ、その羽衣を取れと言った。国清はその通り山に登り天人の羽衣を取って家に帰った。やがて天人は気付き、国清の家に行き羽衣を返して欲しいと願ったが返されず、ついには夫婦になった。二男一女をもうけたが、やがて子供たちが大きくなったから別れても立派に育つと言い残し、天女は羽衣を着て天に昇った。国清は悲しんだが、娘はそれにもまして悲しみ、ついには池に身投げして死んだ。中太田に姫塚と呼ぶ塚があるが、この姫を祀ったものといわれる。
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(マジナイ) 1957年 山梨県 火傷をしたときは「寿日月 我此土安穏 天人常充南」と書く。
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〔センニンノモジ〕 1982年 慶長3年に大樹公(徳川家康)が狩りの時、鶴の羽裏にあった4つの文字を書いたという。この文字を天狗に遣われたという虎吉に見せると、仙人が常に唄う符字のようなものの中にある文字であるといった。
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ライジン 1921年 奈良県 大和国の長谷寺瀧蔵権現のあたりに天人の作った毘沙門天があったが、雷神が降りてこれを奪い天に昇る際、御手際の宝塔が落ちて袖川の瀬にとまったので泊瀬という。
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エンコウ 1955年 島根県 馬を洗っているとえんこうが取り憑いたので、引っ張り返して捕まえたという。君谷村の玉泉寺では、今後川で人をとらないと約束して証文を入れ、口羽村の宗林寺では、和尚が岩に文字を刻んで、その文字が見えなくなるまで人をとらないと誓わせた。えんこうは毎晩出ては岩の文字を消そうと撫で続けたという。
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アマノジャク,テンニン,バンノイシ 1958年 岐阜県 天邪鬼と天人が双六をしていたが、天邪鬼が不正をしたので天人が怒り、盤を蹴った。それで双六という。サイコロは転がってサイが渕に入り、盤は直立して盤の石になった。盤の石に触ると天気が荒れる。昔、蔵柱の人が馬鹿にして盤の石に小便をかけたところ、天気が大荒れになり、蔵柱のみ農作物に被害が出た。後にこの地域で問題となり、その人は神経を病んで死んでしまった。
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トオリガミ,〔ジュウニサマ〕 1938年 福島県 ある女性がひどく病んだので旅の占者に見てもらうと、十二様が通うところに小便をしたためだということで、祓ってもらうと治った。
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(ゾクシン),(ウマレカワリ) 1933年 石川県 土葬の際腋の下に墨で名前を記し置くと、その人が再びこの世に生まれ出るとき歴然と其の文字があらわれ埋めた墓地の土でこすり取るほかは、消すことが出来ないという俗信がある。その文字をぼうじ(墓字か)といっている。
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ガラボシ 1978年 和歌山県 山の悪日は6月16日、川の悪日は6月14日である。その日に川へ行くとガラボシが引き込む。
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(カキノキノモジ) 1977年 柿の大木が真ん中から裂けており、そこに天下という文字がある。この木はある寺の渋柿で、切って薪にしようとしたところ、文字があったため、めでたいものとして、薪にするのを止めて、京から送ってきたという。
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ヤーユウラ 1972年 沖縄県 大阪に住む妹が重病であるとの手紙を貰い、自宅にて庶民の占法の1種であるヤーユウラ(家夕占)をしていたところ、友人が来訪し大豆の芽の出が良い事を話して帰った。これをユウラ神よりの吉のお告げと判断していたところ、間もなく妹の病気が快癒した。
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テンニンニョウボウ 1973年 香川県 あるところに男とその息子がいた。ある日父親が海に行ったところ、木に羽衣が掛かっていたので盗んで帰って箪笥の奥にしまった。息子がそれを見ていた。羽衣をなくした天人を男は家に連れてきて女房にしてしまった。女房が天に帰りたいと泣いているのを息子が見て、羽衣の在りかを教えてしまったので、女房は羽衣をまとって天に帰ってしまった。
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チマミレイシ 1989年 三重県 織田信長と北畠氏が激しい戦いをしたときに、血まみれの落武者がそこで死んでいた。雨が降ると表面に仏教でいう一円相の文字跡が浮かび、下方の信士の文字だけが判読できる。祟りを恐れられ今も動かされていない。
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バケモノ 1989年 鳥取県 念仏岩に彫ってある南無阿弥陀仏の文字が消えてしまったら、化け物が出るといわれていた。
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テング 1919年 静岡県 伊東の某寺に天狗の詫証文が伝わっている。言語学者の大槻如電がその宝物を拝観したが、その字は読めなかった。如電氏は後にその文字は女真文字ではないか、と語ったという。
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ミチユウラ 1972年 沖縄県 老婆(話者)の亭主が船乗りをしていた頃、漂流して数日間帰らない事があった。老婆は道端にて庶民の占法の1種である道ユウラ(道夕占)をしていたところ、最初に聞こえてきたのは逃げていたピンザ(山羊)が帰ってきたという喜びの会話であった。これをユウラ神の吉のお告げと判断していたところ、数日後に亭主が漂流先より帰還した。
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タヌキ 1973年 千葉県 下総国香取大貫村で文化2~3年頃、ある家の天井の上に狸が住んでいて、髪と筆を用意して書を乞えばそれらはひとりでに天井上に上がり1~2文字が書かれていた。ある時主人が狸に人が来るから何か面白い事をしろと言ったら市の幻影を出した。
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(ウマレカワリ) 1982年 群馬県 死んだ子に「南無妙法蓮華経」と書いて埋葬したら、牛の子にその文字が浮き出た。
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