ドンコ 1984年 愛媛県 堂の浦池のドンコを男が捕らえて歩いていると、人の声がする。ドンコが「わしは臼杵の畝々に背焙りに行くぞえ」と答えた。男は驚いてドンコを放り投げて逃げ帰った。
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ドンコ 1984年 愛媛県 田ノ浦のある池には大きなドンコがいた。ある日、背中を出して休んでいたのを、男が捕らえて峠の道を歩いていると、人の気配はないのに人の声がする。聞くと「ドンコさん、ドンコさん、どこい行くんぞな」と言う。すると背中のドンコが「余戸割木で背焙りに行くのよ」と答えた。男は驚いてドンコを放り投げて逃げ帰った。
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ドンコ,エンコ,ダイジャ 1985年 愛媛県 昔、北が森のふもとに水たまりがあった。そこに三尺の赤ドンコと黒ドンコが住んでいた。ある日三津が浜のエンコというものがドンコをつかまえて食べようとした。帰り道の通し谷の大蛇がドンコにどこに行くと問うと、「背中をあぶりに行く」とドンコが答えた。エンコは自分の考えを知られていることを知り、怖くなってドンコをもとの北が森へ戻した。
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ヤマオトコ 1989年 長野県 大鹿村の北方に地獄谷という場所があり、人間や動物の骨がそこかしこにある恐ろしい場所だった。ある時、そうさくじいが肝試しがてらそこに木を伐りに行くと、良いさわらの木がたくさんあったので、小屋をかけて桶皮を取っていた。ある月夜の晩、山鳴りがして何か近づいた来たが、何もなかった。次に山奥から音がして、山男が小屋の前に立ち、「これを食え」と女性の片腕を放り込んできた。驚いたそうさくじいは夜明けを待って家に逃げ帰った。
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タヌキ 1932年 高知県 炭焼をしていた話者が夜竃をしていた所、自分の娘が呼びに来た。怪しんで火縄銃を差し付けたら、逃げて行った。また別の日、隣の男が来て「お前の女房が病気だから帰ってくれ」という。怪しんだ紺蔵が男を竃の前で待たせて観察していると、男は居眠りを始め、耳も口もすっかり狸の相を現してしまった。そこで燃える炭を叩き付けると狸は逃げ、翌朝、焼け爛れた大狸が谷川に浮いていた。
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テングサマ 1989年 長野県 ある男性が夏の暑い夕方、一日の仕事を終えようとするときに、「面白いものを見せてやる」と言われて天狗にさらわれた。「目を開けろ」と言うので見ると、楽しそうに盆踊りをしているのが見えた。また連れて帰って来られ、天狗は去り際に「くわの棒をくべろ」と言った。家の囲炉裏にくわの棒をくべると、ようやく我に返ったという。天狗は鼻の背が高い赤ら顔の男であった。
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テング 1970年 滋賀県 次助集落のある人が、山講の日に中の谷に行ったら天狗につままれて飛ばされ、行方不明になった。探したが見つからず、そのうち帰ってきたが、頭が変になっていた。
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タヌキ 1981年 和歌山県 ある姉妹が沢に薪拾いに行ったら、頬かむりをした人が「こっちへ来い」と呼んだ。姉が「狸だ」と気づいて、沢を降りて逃げた。
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タヌキ 1992年 奈良県 狸がきれいな着物を着た娘さんに化けて出てきた。男の人がついていったら、寂しい所に連れて行かれた。そして男の人は険しい崖を上って帰ってきたという。
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オニ 1972年 長崎県 ある男性が鬼に捕まえられ、瓶に入れられて連れて行かれた。松の枝に掴まって男は逃げたが、鬼が追いかけてきたのでヨモギとカヤが茂っている藪に逃げ込んで助かったという。
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ヒヲカセ 1938年 愛知県 火を貸せという道の怪が出る場所がある。昔、鬼久左という力持ちの男が夜道を歩いていると、先を行くおかっぱの童女が火を貸せと言った。煙管で打ち据えようとしたとこと、自分が気絶してしまった。童女は淵の神の子だったのだろうという。
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カッパ 1987年 長野県 ある人が千古の淵の近くの木に馬を繋いでいた。すると,千古の淵のかっぱが出てきて馬のしりを抜こうとした。馬が暴れたのでかっぱは頭の皿の水をこぼしてしまい,馬に引きずられて家まで行った。家の者が見ると馬の尻尾に妙なものが掴まっているので,柄杓で叩こうとしたところ,柄杓に入っていた水がかっぱの皿に入ってしまった。かっぱは息を吹き返し,たちまち逃げ去っていった。
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ウントク 1965年 岩手県 柴刈りに行った爺が淵に柴を投げ込むと、水の底に住む女と翁から柴のお礼にとウントクという名の醜い童をもらった。この童を人知れず家に置いているうちは繁栄したが、婆が童を見つけ追い出すと、もとの状態にもどってしまった。
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テング 1979年 岐阜県 下洞集落の根の松という男が行方不明になった。天狗にさらわれたのだということになり、村人が「根の松返せー」と叫んで探し回ったが、本人は何食わぬ顔で帰ってきた。
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オクリイヌ,ヤマイヌ 1929年 愛知県 煙草を喫みたくなった男は、路傍で煙草を吸っているものに火を借りようとしたが、実はそれは山犬であった。目を火のように怒らせていたのを見た男は、一目散に山を駆け下りていった。送犬につけられたときは、倒れたり転んだりすると食いつかれる。家に着いたときは草鞋の紐をちぎって「ご苦労様」と言って投げてやられば、送り犬は去らないという。
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タヌキ 1984年 埼玉県 白石の下の家にある日の夕方、得体の知れない男がやってきてイロリにあたらせてくれという。おじいさんとおばあさんがあたらせてやるとそれからちょくちょく来るようになった。どうもおかしい、その男はタヌキの化け物ではないかと思った。翌日は餅を食べていき、次の日にやってきたときに酒を飲ませると、火の側でウトウトしだし、見ていると木の葉が出てきた。そこで石を焼いて焼き餅だといって投げてやるとその石が股の間にのったので、タヌキは逃げ出してそれ以来2度と来ることはなかった。それはムジナ沢のタヌキである。
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タヌキ 1990年 長野県 下り谷から細野山に嫁いだ人が、井戸入のたぬきがいる方へ馬を曳きに云った。ところがたぬきに騙されて、夜になっても帰ってこない。近所の人と一緒に迎えに行ったが呼んでも返事をしないので、朝になったら帰ってくるだろうと引き上げた。朝方に嫁は帰ってきた。油好きのたぬきに髪のびんつけ油をなめられて、髪の毛はぼうぼうだったという。
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マモノ 1996年 香川県 夜、猪鼻岬を帰っていると、魔物が出てきた。恐くなっていると、どこからともなく犬がきて、守ってくれた。魔物は笑った顔が口から耳まで裂けていた。家までついてきた犬は小豆飯を食べさせて帰らせた。
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シリョウ,タマ 1941年 岐阜県 山の中を歩いているとき、供の者が主人を殺し、死体を竹薮に放ったまま山を下りた。そこへみずぼらしいお坊さんがやってきて、「お前は殺した死骸に取り付いていないと死ぬ」と忠言する。そこで供の者が主人の死体に取り付いていると、朝になると魂が戻ってきて「今日も探し出せんで残念な」と言って死体に入る。夕方また出て行って「今日は地を六尺掘っても探し出す」といい、そのたびに大きな音を立てる。三日目「この位探しても見つからないならあの男は死んだに違いない。これで成仏できる」といって魂は死体に入った。供の男は助かった。
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バケネコ 1976年 鹿児島県 山道で道連れを乞う女がきた。煙草をすすめると女は吸い口を噛み切って返したので化け物だと確信した。女を先に立たせ、後ろから両端をとがらせた棒で女のホトをめがけて突き殺すと、大きな猫が化けていた。
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