(ヒョウイ) 1975年 昔、2人の子を持つ夫が別の女のもとに通い、妬んだ本妻が1人の子を殺した後で自殺した。夫は後悔し、もう1人の子を親類の娘に託して育ててもらう。数日後その娘が夕暮れに道で本妻と出会う。本妻は「こやこや」と呼びとどめ、手厚い養育を感謝し、しばし身体を貸してほしいと言う。恐ろしくなった娘は逃げ帰ったが、その夜に具合が悪くなって寝込む。けれどもその子が泣く毎に抱き上げて、本当は出ないはずの乳をやる。また子をあやす時の声や面影は本妻そっくりだが、子が寝ている時は元の娘に戻るという。仏事をとり行い、子を乳母に育てさせると、娘の病もなくなった。
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オンリョウ,マモノ 1956年 東京都 父親が塩を盗んだのを、七つの娘が子守唄でばらしてしまった。村人がその娘に臼をかぶせた所に怨霊が出て、今でも魔物に迷わされる。
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ユウレイ,ロウフウフ 1933年 大阪府 子のいない老夫婦が養子を貰うことになった。しかし、この養子が放蕩者であったために結局離縁した。これを恨んだ養子は、家に押し入って二人を惨殺し、自らも磔に処せられた。以来、この家には老夫婦の亡霊が現れ、長らく借り手もなかったという。
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カタウデ 1939年 香川県 夜になると窓から大きな片腕を出して「これを見ろ」と言う。そのためか、その家の女が2、3人死んだ。後に別の女が刀でその腕を切ると、手応えはあったが何も落ちてはいなかった。以後そのようなことは起きなくなった。
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テンリュウ 1990年 大阪府 ある男が小墓というところで畑仕事をしていると、天龍が降りてきた。それ以来代々ものを言えない者ばかり生まれる家系になった。
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タタリ 1979年 岐阜県 強盗が捕まり処刑されることになった。その息子は善良であったが、家主の訴えで処刑されることになった。死の間際、強盗は「今に見ておれ、一家祟ってやる」と叫んで死んだ。祟られた家は断絶した。
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ヤサブロウババ,オニオンナ 1939年 新潟県 生きながら鬼女になった祖母は孫2人の血を吸って殺し、息子に腕を切られたので、腕を返せと言った。山麓では幼児を貪り食って、その衣を松にかけた。
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ヒナ 1934年 熊本県 昔、2人の息子を持った父親が2人の息子に3年で一人前になって来いと言った。兄は立派な大工になっていた。弟は奉公先でもらったみすぼらしいひーなさん(雛様)のおかげで立派な泥棒になった。
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カミカクシ 1956年 東京都 7,8つの子供が神かくしにあった。鉦太鼓の鳴物で探し回ったが見つからない。諦めようとした頃、大きな屋敷の松の木の根の所にポツンと立っていた。「赤い団子を食べていた」とだけ言った。
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(キダン) 1976年 ある人に兄弟が10人いた。兄から、年の順に死んでいった。その妻達もまた同様であった。
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シロイヌノブクロヲカツイダキタナイミナリノオトコノコ 1984年 秋田県 貧しい百姓と大金持ちの農家が並んでいた。ある日、白い布袋を担いだ汚い身なりの男の子が金持ちの奥座敷から出てきて、隣の百姓の家に入って消えてしまった。その後百姓は裕福になり金持ちのほうは貧乏になった。だから見知らぬ子供でも面倒を見てやるものだ。
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シリョウノタタリ 1956年 宮城県 昔,仙台本柳町の某という束巻師の一家には三人の娘がいたが,上の二人が同じような死に方をした。通夜の夜更けに呻き声が聞こえるので覗くと,娘の死顔が赤黒い鬼のようになって睨んでいる。その変化は,「我はこの家の7代前の先祖に殺された山伏の霊である。公金を携えて上方に旅した時先祖の男と道連れになったが,男は山中で私を殺して大金を奪った。先祖の男はその大金を元手に分限者となったが一片の供養の心もない。無念であったが,代々運勢が盛んで祟る事もできなかった。しかしようやく恨みを晴らすべき時がきた。偽りと思うなら箪笥の奥に自分の刺した刀がある」と申し述べた上,残った娘の命を助けたければ昔自分が望んでいた位官相応の葬列を出せと言う。夫婦が承諾すると面相は元に戻った。さて夫婦は一旦承諾したものの仰々しい葬礼を出すことができない。すると,また山伏の霊が末娘に憑いて現れ,こんな粗略な仕方では駄目だと言う。夫婦は今度こそ約束通りの葬儀を行ったが,結局末娘は数日後に憔悴して死んだ。使用人や婿養子も気味悪がって去り,家の中は荒れ果てて夫婦は行方が知れなくなった。なお只野真葛の附言として,家の下婢の実家でこの話を聞き,当時死霊に憑かれた娘の泣き狂う声が近所にまで聞こえたというので書き留めた旨を記す。
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ヤマオトコ 1989年 長野県 ある猟師が谷に入って一日仕事をしていたが、獲物を捕れなかったので山小屋に帰ろうとしたところ山鳴りがして山男が出てきた。山男と戦っている内に鉛玉がつきたので金の玉を込めて撃とうとすると、「それをすると死んでしまうので仲直りをしよう」と言い出した。結局山男が負けたことを言わない代わりに、山に行くたびに猟を分けてくれることになり、その時は1人で来いということになった。後、他の猟師が「どこで猟をしているのか」と問うのに言わないでいたら、子供に口のきけない子が産まれたという。
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キシモジン 1976年 鬼子母神は諸人の子を捕って食べていたために、その戒めとして鬼子母神の大勢の子の1人を鉢に隠し、それを悲しんで以来、人の子を捕らなくなった。
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(シンダハハオヤ) 1973年 三重県 男の子が3人、女の子が2人いる家に後妻が来た。その後妻は子供たちをいじめ、男の子たちは分家させ、女の子たちは嫁に出した。後妻は糸をかけることを教えなかったので、嫁入り先で困っていると、死んだ母親が出てきてやり方を教えてくれたという。
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ガワタロー 1954年 京都府 志古渕さんという水神が七人の男子と筏遊びをしていて、ガワタロー(河童)に長男を取られた。子供を取り戻すために水神は、年に三人の子供を差し出すことと、決まった服装をしたものには手を出さないことを河童との間で取り決めた。
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オカネウムムスメ 1956年 宮城県 昔、名鰭沼のふちに夫婦が住んでいた。子どもになかなか恵まれず、願かけて神に祈っていると、春の猫柳の芽がふくれる頃、嫁の腹が大きくなり、ついに女の子が生まれた。しかし片目片耳の子だったので、人目をさけてボロに包んで納屋においておいた。あるとき用事で、どうしても子を背負って町にいかなければならぬことになったので、慎重に包んで出ていった。町の用事がすんで帰るとき、石の上に子どもをおろして休んでいると、腰のまがった白髪の爺さんがきてボロをはがして子どもを見て「これはいい子だ。神様の授かりものだ。今にお金を生むから毎朝米一粒ずつつかませておけ」と言い残して消える。ためしに米一粒つかませるとお金を一つ産んだ。夫婦はしだいに金持ちになったが、慾の出た夫婦は「うんとつかませたらうんと生むだろう」と、ある日つかみきれないほど米をつかませると、子どもは死んでしまった。
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バカムスコトカゲボウシ 1956年 宮城県 老夫婦に息子が3人いて、兄はたいへん利口、中の兄は中くらい、末っ子は馬鹿だった。上の2人はよく稼ぐから婆もひいきで、羊を2匹買って1匹ずつ任せた。あるお天気の日に兄たちは羊に草を食わせに行き、末子は婆の作った団子を届けにいった。途中、末子の脇の方を痩せた病人のような奴がゆーらり、ゆーらり歩いているので、末子はわかいそうに思い、団子を食わせようとした。しかしさっぱり食おうとしないので、竹で土の中へ埋めて歩き出した。ところが今後は痩せた奴が後から歩いてくるので又団子を土に埋めた。どこまで歩いてもその痩せた奴がついてきて、その度に団子を食わせたので、兄たちのいる山に来た時は団子がなくなってしまった。その話を聞いて兄たちが言うには、「そいつは影法師といって、お天気のいいときにゃ、いっつも出るのさ」といって、家に帰ってお昼を食べたという。
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トオヤマヅカ 1971年 岐阜県 戦国時代、武田に敗れた遠山家の落武者が、村人の密告で討たれた。その祟りで教えた村人の家には代々口のきけない子が生まれる。
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カミサマ,ゴミソ 1967年 青森県 青森県八戸市のある女性は14歳で養女に出され、17歳で結婚し12年間に9人子供をなした。29歳のとき授乳中に突然具合が悪くなり失神状態となり、急に「カミサマだ」と叫びだした。それ以後彼女はカミサマとなった。それ以来言うことが良く当たり、大勢の人が相談に来るようになった。しかし妬む人もいるので修行をした。様々な相談が持ち込まれるが、祈祷をすると神が彼女の口を借りて喋る。
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