ダイジャ 1962年 神奈川県 昔、ある村に住む美しい娘の元に、夜ごと、前髪立ちで小袖を着た美しい若衆が通ってきた。いつしか娘は身ごもったが、若衆は名も家も告げない。ある夜、若衆の髪に縫針を刺すと、以後若衆は来なくなった。家の者が山の中を探すと蛇の穴があり、針の鉄の毒がまわった蛇がウメキ声をあげていた。娘を菖蒲湯に入れると、大蛇の腹子が全部流れたという。
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ワニ 1933年 福島県 寺のお堂に老僧と娘が住んでいた。いつのころからか一人の若衆が娘のもとに通うようになった。たずねてきた西行法師が若衆を怪しみ、薬師の宝刀を投げつけたら、若衆は鰐に変じ海に逃げた。娘はすでにこの世の人間ではなかった。10日ほど後、宝刀を呑んだ鰐が海から揚がった。
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ナママブリ 1981年 鹿児島県 夜中に帰宅する叔父と私の2人が、叔父の家の門口で女の人の姿を見た。その女の人をはさむように2人で歩いていったが、途中で見えなくなった。それからしばらく忘れていたが、五日ほどして叔父の妻が死んだ。あの女はマブリだったのだ。
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ヒノタマ,ヒトダマ 1959年 南九州の農村である子供が病気の叔父を気にかけて、その丘向こうの家の方を見ていると赤い火が闇の中に見えた。だんだん大きくなり子供の家の大木の梢に止まって明るく光り消えた。しばらく後叔父の死が伝えられた。
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ヘビノコヲウム 1956年 宮城県 昔,この地方に母娘が二人で住んでいた。毎晩のように娘のもとに美男の若衆が忍んで来るが,何処の誰かわからない。どうも化生のものらしい。母の言葉に従ってこっそり長い糸を針で袴の裾に縫い付け,翌朝二人で糸を辿っていった。糸は裏山の大木の所まで続いており,根元の穴から呻き声と「俺が死んでも,子供を千疋つくったから未練はない」という言葉が聞こえた。驚いた母娘が和尚の教えに従い,菖蒲と蓬の湯を沸かして娘を入浴させると,娘の体から千疋の子蛇が出てきた。若衆は蛇の正体を現して死んでいたという。
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ヘビ 1972年 岐阜県 安八郡に安八太夫という豪農がいた。ある日照りの年、蛇に向かって雨を降らせてくれたら娘をやると言ってしまい、雨が降ったので蛇に末の娘をやることになってしまった。娘は夜叉が池の主である蛇に嫁いだ。後に里帰りして昼寝をしていた娘が「戸を開けて入ってくるな」と言っていたにもかかわらず母親が入ってしまい、娘を見ると大蛇になっていた。以来、娘は大木の枝を風なしで揺することで来訪したことだけを告げるようになったという。
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リュウ,アオイケノヌシ 1992年 三重県 松阪の娘が池へ行きたがり、池に着くと娘は飛び込む。籠が出て、次に娘が出てきて、自分は池の主であったことを告げる。別の人がその池に行ってみると、その娘が髪を梳いていた。またその娘は池に行く以前に、大阪で雇われていた。その雇い先の娘さんが病気で苦しんでいたが、青池の主である娘にだけ、病気の娘に蛇が巻き付いているのが見え、取り除いてやると回復したという。
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(シノヨチョウ) 1935年 話者の体験談。叔父がハワイからの帰途汽船の中で死んだ。話者と両親、祖母とが話していると「ごめん」と言ってニハグチ(入り口)の障子に触った者がいた。また、叔父の弟は銚子沖の船中で、暗夜に大時化の中を船が行くのを見た。叔父が死んだのも同じ銚子沖の時化の時だった。
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ロクロククビ,タタリ 1943年 愛知県 ある家の娘が嫁に行ったが、すぐに戻ってきた。それから2度と嫁に行くことはなかったが、それは娘がろくろく首であったからで、そうなったのは、娘の親がオシヤゴジの塚の上でせぶった(寝た)罰があたったからという。
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イケノヌシ,リュウ 1973年 三重県 池の主の龍が若い男に化けて娘遊びをしていた。龍の親は「いつまでも娘遊びをしていると、いたずらされてダメになる」と言い、息子は「娘の腹には自分の子がいる」と言った。しかし親は「人間は菖蒲湯に入るから、子供がいてもどうにもならない」と言った。池の主はそれでも遊び回り、あるとき娘に針で突かれてのたうち回った。娘は菖蒲湯に入ったので子どもは産まれず、龍は親の言ったとおり、ダメになってしまったという。
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ベンザイテン,ヘビ 1935年 昔、ある弁才天の神官の家にひとりの娘がいた。近所の百姓が多忙の時期には娘の手を借りることもあった。ある時百姓が養蚕のために手が不足したのでその娘を頼みにいくと、神官の家に出産があり手がいるので娘を借りることができなかった。しかし百姓が家に帰るとその娘が来ており、都合がついたという。それから娘は毎日その百姓の手伝いをした。仕事に区切りがついたので、娘を返すため神官の家まで送ると、娘はお参りをさせてくださいと言って神社に入ったきり帰ってこない。神官の家を訪れると娘はちゃんといて、手伝いには行っていないという。そこで百姓と神官が弁才天の前まで行くとその娘そっくりの頭を持った蛇がいた。神官が礼を述べると蛇は姿を消した。
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ヘビノムコ 1977年 神奈川県 ある蛇が人間の娘に惚れてしまい、青年の姿となって娘のところに通うようになった。娘の母が心配し、青年の着物に紐を結びつけるよう娘に言いつけた。その紐を辿って山中の岩屋の中を窺ったところ、中で、娘との間に子供を作ってはきたが、5月の節句に菖蒲酒を飲まれれば子供はみんなおろされてしまうと言っていたので、娘と母親は急いで帰ってその通りにした。
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シロヘビ 1933年 栃木県 娘が朝水汲みに行くと、社に白蛇が出る。娘には小さく見えるが、他の人には大きく見える。月に1度は娘の家に現われる。この後、娘の家は大金持ちになったが、娘が死ぬと蛇が現われなくなり、家没落した。
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ツツジノムスメ,マショウノケシン,アタタカイモチ 1987年 長野県 若者は,毎晩毎晩細い身で険しい山を越えてくる娘に疑いを抱き,魔性の化身に違いないと思うようになった。娘と関係を続けると,いずれ食い殺されてしまうのではないかと考えた若者は,娘の殺害を決意する。山中の断崖で待ち伏せしていると,娘が疾風のような速さで通り過ぎようとした。若者が踊り出て娘の体をつくと,娘は叫び声を上げながら谷底に落ちていった。その後,娘の落ちた辺り一面に真っ赤なつつじの花が咲き乱れるようになった。娘の血が花と化したものだという。
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ヒキガエル 1939年 香川県 数人の若衆がいる山小屋に、綺麗な娘が宿を求めてやって来たので泊めた。眠る間に、娘が男の所へ這って来て口から血を吸っていたので頭を木割で打った。夜が明けると男は死に、血の跡を辿ると巣の前で蟇(ひきがえる)が死んでいた。
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テナシムスメ 2001年 青森県 昔、ある大金持ちのところに美しい一人娘がいたが、ここに心がけの悪い後妻が来て、家来に娘を殺すように命じた。家来は殺すに忍びなく、娘の両手を切ることとした。後に娘に子が出来た。この子供を背負ったまま娘が水を飲もうとしたとき、背中の子供が川へ落ちそうになった。その子を捕まえようと娘が精一杯両腕を伸ばすと、力の入った拍子に両の手が出てきた。
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ヘビジゾウ 1956年 宮城県 釈迦堂公園南裏手の畑地にある蛇地蔵の由来譚。昔,化粧坂の辺りに機織で生計を立てている母娘がいた。いつからともなく,娘の所に毎夜凛々しい若衆が通ってくるようになった。娘が日ごとにやつれていくので,母が娘に若者の素性や名前を聞いたがわからないという。母は寺の和尚に相談し,娘に言い含めて麻糸を若者の裾にこっそり針で縫い付けさせた。翌朝母娘が糸をたどって裏山に登っていくと,糸は草地にある穴の中に吸い込まれていた。二人が部落の人に頼んで穴を掘り返してみたところ,中から大きい白蛇が糸を尾に縫い付けられた状態で這い出してきたので皆で打ち殺してしまった。母娘は白蛇の供養のために懇ろに葬って地蔵を建ててやった。
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ダイジャ,ムスメ,ジャタイ 1929年 富山県 お光という娘に大蛇が恋をして、引いていった。翌年、出産のために娘は帰ってきたが、産所には入れなかった。怪しんだ母が見ると、娘が蛇体となっていた。驚いた母の声で気付いた娘は、元の姿となって、親子の縁を切った。娘は最後だからと言って、粽の作り方を教えた。
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イキリョウ,ツキモノ 1922年 京都府 村にお梅という娘があった。あるとき娘は養子を迎えたが、養子はその母親とできてしまった。それから母は娘をいろいろ苦しめたが、娘がふと憑き物に疲れてしまった。百万遍の僧が理由を尋ねると、母の生霊が憑いていることがわかった。憑き物は落ちたが娘は衰弱して死んでしまった。
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ホトケ 1941年 不明 心中しようとした家族の息子を、通りかかった人が不憫に思い連れて帰って自分の娘と添わせるために育てた。するとその息子は他に女をこしらえてしまったので、娘は家を出た。母は娘を探し出し、どうか家に戻ってくれと頼んだ。そこへ娘の言い交わした男も一緒になってくれといいに来た。娘はどっちに行けばいいかわからず、橋から身を投げた。娘の体は二、三間流れたあと仏になって緋の衣を着た姿になり、わきへ上がっていった。
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ダイジャ 1966年 新潟県 労咳で病んでいた娘のいる家に美しい男が来て宿を借り、娘の病を治した。ところがその男は大蛇であったので、そみの娘は今でも脇の下に鱗が3枚生えているという。
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