サカウタ,クチ 2001年 鹿児島県 口説に蟹口説というものがあるが、蟹は他人からサカウタ(呪い歌)やクチ(呪い言)を掛けられたときに噛み切って無害にするという機能をもつ。サカウタは歌掛けの相手に呪いを掛けることが出来る歌のことである。サカウタを掛けられると霊力が弱くなりついには死に至る。故に他集落では無闇に歌掛けをしてはならない。
 類似事例 |
|
クチ 1977年 鹿児島県 実害のあるクチをフイグチと言い、クチを入れられると吐き気をもよおし、吐いたものの中に血が混じっている。クチを入れられたままにしておくと生命にかかわるのでカエシグチを行わなければならないが、相手に悟られないようにしないと更に悪感情を抱かれる。
 類似事例 |
|
クセジ,クセジウチ 1993年 静岡県 クセジやクセジウチといわれている山で焼畑をしたり木材を伐採したりすると祟る。病人が出たり気が変になったり不具の子が生まれたりする。クセジでは土地争いや自動車事故も起こりやすい。
 類似事例 |
|
キツネモチ 1922年 島根県 江津町の海岸部では、狐持の欲しいと思う物をやらなかったり、狐持の悪口を言ったりすると、すぐに狐に憑かれるという。事のあった晩か翌朝頃急に腹が痛み出し、そこら中転びまわって苦しむ。憑かれると狐持の家にお詫びに行き、欲しいものがあるなら持って行く。その際病人には赤飯や油揚げを食べさせる。病人は日蓮宗のお寺かお宮でお祭りをしてもらうと治る。
 類似事例 |
|
マブリワシ,カタホゴリ,シュバレ 1986年 鹿児島県 加計呂麻島では祝女が死者の7日祭りに死者供養としてのマブリワシを行うことがある。一部のイガミがカタホゴリという民間医療やシュバレと呼ぶ悪霊除去のための呪術行為を行っている。そのうちマブリワシとシュバレはこの地方のユタが広く行っている呪術であるという。
 類似事例 |
|
クチ 1977年 鹿児島県 クチの強い人と口論すると言い負かされて病気になる。また、クチの強い人は、時々顔が重くなるが木や石などにクチを入れると軽くなる。クチの入った木や石に触れると、クチの人とは無関係の人でもそのクチが入って頭が痛くなることがある。
 類似事例 |
|
(ココ) 1980年 島根県 出雲国に狐蠱というものがある。これは狐を使うもので、行えば必ず人を病にしたり発狂させたりする。またそれは行ったものでないと、祓うことが出来ない。
 類似事例 |
|
フイグチ 1977年 沖縄県 言葉、または食物を媒介とするクチをフイグチと言う。フイグチが入ると身体が重くなり、最後には血の塊を吐くのですぐに返しグチをしなければならない。フイグチは神高い人、特定の職業者にしか行うことはできない。
 類似事例 |
|
マ 1940年 鹿児島県 大隅徳之島の俗信。晩に訪れる者があると、向こうから三度呼んでから返事をしないと、時々魔が来るという。
 類似事例 |
|
カゼフケ 1942年 高知県 高岡郡須崎町ではカゼフケに逢うことを「悪い風にうてた」という。呪禁として箕を持って煽ぐ。これは平野村の「七人みさき」や「ガンドー」に憑かれた時にする呪禁の1つである。
 類似事例 |
|
フイグチ,タマガルクチ 1977年 鹿児島県 人に害を与えるクチをフイグチと言う。クチをかけられると必ず吐く。あげたものの中に血が混じっていると言い、里いもにクチをかけられ、それを知らずに食べたがすぐにカエシグチをしたので命に別状はなかった。クチムンは母娘間で伝わることが多い。
 類似事例 |
|
(ゾクシン) 1982年 新潟県 キザシに関する俗信。クサメをすると人に思われたり、のろわれたり、ほれられたり、かぜひいたり鼻から魂をとられるといい、魂をとられないために、「バカ、チクショウ」とか「思うたんびに会われるか、3度に1度は、お前来い」などという。一ツオモワレ、二ツノロイ、三ツホレラレ、四ツカゼヒクという。夜に左耳がかゆいと悪いことがあるし、右耳がかゆいとよいことがある、など。
 類似事例 |
|
カラス 1929年 長野県 信濃で、カラスの口真似をすると口角裂傷(ゴキズレ、アクチ)を病む。駿河や紀伊、越中讃岐でも同内容が伝わる。
 類似事例 |
|
カミノオツゲ,カミダーリ 1986年 沖縄県 十数年前カミダーリ(神憑依)があり、「おまえはウマリ(霊能のすぐれた個性をもつ人格)だから、カミファーフジ(祖先神)のいうことをよく聞いて行動し、悩んでいる人々を助けなさい」と言われ、断ると「そうしないと命をとられる」という神の警告があった。
 類似事例 |
|
(アクシンニツカレル) 1984年 新潟県 外から帰って3、4日も気持ちが悪い時は、悪神にあって憑かれたのではないかと「イキアイ呪い」をする。その者を玄関に立たせ、厚い着物などを頭から上下逆に掛け、サカナベを熱くあぶってかぶせる。これは力の強い人が良く、鎌のみねで鍋の底をたたきながら、南無遍照金剛を唱え、唱え言をしながら周囲の床を叩き、箒で掃き出す。このとき戸を少しあけておいて、呪いを終えると被せた着物をぱっと取って庭の隅に放り投げ、ぴしゃっと戸を閉める。
 類似事例 |
|
(イキアイニナル),(ムジナツキ) 1984年 新潟県 山や野良に出て急に気持ちが悪くなることを「イキアイになった」という。多くはムジナに憑かれたものだといわれるが、この療法は、その人をうつ伏せにして、蓑を逆さに掛けて、釜のふたで煽ぐというものである。
 類似事例 |
|
ヘビモチ,トウビョウ 1979年 四国で蛇蠱を使う者のことをへびもちという。石見では土瓶という。幻術である。このような人たちは結婚で差別を受ける。備前備後の猫神猿神などあり、狐神のようである。信州伊奈郡のくだや上州南牧の大さきなども同類である。
 類似事例 |
|
タマシイヨビ,ヨバリモドシ 2003年 山梨県 ある人が死にそうになった時に屋根に登り、その屋根の一部を裂き下に向かって名前を叫んだら、その人が実際に戻ったといわれる。富士吉田市では、それをヨバリモドシという。
 類似事例 |
|
カマイタチ 1956年 旋風に乗ってきて人の肉を切りとる。または生血を吸う魔獣として信じられていた。全国ほぼ共通で、東北地方でも大正の頃まで信じられていた。土地によって多少内容が違う。カマイタチは悪神の仕業であるとか、害を受ける場所がきまっているとか、その傷痕は鎌の形をしているとか、出血しないで肉だけ抉りとるなどとも信じられていた。宮城県でもほぼ同じで、主に晩秋から冬にかけて危害を受けることが多かったという。
 類似事例 |
|
(ゾクシン) 1982年 新潟県 ウルシかぶれに関する呪的療法。ウルシにかぶれた人が、ウルシの木のところに酒をもっていって男性なら「ウルシの木の婿になる」、女性なら「嫁になる」といって酒を飲み、木に注いでくる。ウルシの木のところへ握り飯を持っていく、など。
 類似事例 |
|