■研究活動 共同研究 2019年度

近代東アジア文化史の再構築Ⅰ―19世紀の百年間を中心に

領域 国際共同研究

 従来、19世紀以降のナショナリズムの影響のもとで、われわれのいわゆる文学史や文化史、いずれも一国を単位とし、外部、ないしは他者と切り離して構築してきた。日本文学史・文化史、中国文学史・文化史などがそれである。しかし、これは、文学や文化自身の成立原理に反するのみならず、真の歴史的実情とも異なっている。
周知のとおり、日、中、韓、越の東アジア四ヶ国の文学や文化は、古代、近代を問わず、つねに互いに影響し、互いに交錯して、緊密に連動している。古代では、漢字や漢文、また儒教や仏教などがその基盤を構成し、そして近代では、いわゆる西力東漸、西学東漸という時代の流れの中で、東アジア四ヶ国は、さらに交互に経験を参照し、交互に支え合う形でそれぞれの文化的転換を模索しつつ、一つの全体のもとで、相次ぎ西洋文化、西洋文明のインパクトを受け入れてきた。したがって、この200年の東アジアの文学や文化の生成と発展からすれば、それを安易に各国の一国内史に切り分けては、けっしてその間の真の歴史過程を再現することができない。
 このような事情に基づき、本共同研究会では、近代日中の文学、文化交流を中心に、その相互に影響し、交錯するさまざまな歴史的事例の発掘と考察を通して、従来の一国史的な歴史叙述の脱構築ないしは止揚を目指すべく、既成の歴史記述とは異なる視点や方法を提示し、当該地域全体の文学や文化の歴史をあらためて構築してみたい。
(以下の研究組織は2019年8月6日時点のものです)

研究代表者 劉 建輝 国際日本文化研究センター・教授
共同研究員 上垣外 憲一 大妻女子大学・非常勤講師
陳 力衛 成城大学経済学部・教授
王 宝平 二松学舎大学文学部・教授
小倉 紀蔵 京都大学大学院人間・環境学研究科・教授
白幡 洋三郎 国際日本文化研究センター名誉教授
単 援朝 崇城大学工学部・教授
陳 継東 青山学院大学国際政治経済学部・教授
仲 万美子 同志社女子大学学芸学部・教授
松宮 貴之 佛教大学文学部・非常勤講師
森田 憲司 奈良大学名誉教授
井上 章一 国際日本文化研究センター・教授
石川 肇 国際日本文化研究センター・助教
孫 江 国際日本文化研究センター・外国人研究員
宋 琦 総合研究大学院大学・博士課程
唐 権 国際日本文化研究センター・外来研究員
海外共同研究員 王 中忱 中国清華大学人文学院・教授
劉 序楓 台湾中央研究院人文社会科学研究中心・研究員