■研究活動 共同研究 2016年度

浪花節の生成と展開についての学際的研究

領域 第1研究域 動態研究

 浪花節(浪曲)は、近代社会において、大衆の感情・価値観に寄り添い、聴く者の喜怒哀楽を喚起してきた語り芸である。本研究会は、物語・節・三味線伴奏に注目するなかで、演目・演技の比較検討をおこない、浪花節の生成と展開を明らかにしていくことを目的としている。浪花節は、前近代の語り芸を源流としつつ、近代以降に、現在につながる口演形式や演目群を獲得していった。その過程において、浪花節は貪欲に周辺領域から物語や旋律をとりこみ、一方で周辺領域へとそれらを提供してきた。メディア産業や国民国家の展開のなかで、前近代から現代へと大衆文化に求められる物語や旋律を橋渡ししてきたのが浪花節だったと言えるだろう。それは、浪花節が聴衆を満足させるための常套的な表現をストックしてきた一方で、常に流動的に変貌を遂げてきたことを意味している。浪花節の歴史的展開をジャンル間交渉のなかに位置づけていく作業は、近代大衆文化史の重要な水脈を可視化することにつながっていく。

研究代表者 真鍋 昌賢 国際日本文化研究センター・客員教授 / 北九州市立大学・教授
幹事 細川 周平 国際日本文化研究センター・教授
共同研究員 芦川 淳平 公益社団法人浪曲親友協会・監事(非常勤)
上田 学 東京工芸大学芸術学部・非常勤講師
北川 純子 大阪教育大学教育学部・教授
薦田 治子 武蔵野音楽大学音楽学部・教授
諏訪 淳一郎 弘前大学人文社会・教育学系・准教授
時田 アリソン 京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター・所長
馬場 美佳 筑波大学人文社会系・准教授
兵藤 裕己 学習院大学文学部・教授
細田 明宏 帝京大学文学部・准教授
森谷 裕美子 学習院大学文学部・非常勤講師
早稲田 みな子 東京藝術大学音楽学部 ・非常勤講師
渡瀬 淳子 北九州市立大学文学部・准教授
延広 真治 東京大学名誉教授
古川 綾子 国際日本文化研究センター・特任助教
海外共同研究員 瀬戸 智子 延世大学アンダーウッド国際大学アジア学部 ・助教授
朴 英山 誠信女子大学校・非常勤講師