■研究活動 共同研究 2014年度

日本の軍事戦略と東アジア社会 ―日中戦争期を中心として―

領域 第3研究域 文化比較

 本研究は、東アジア全域にわたった日本の対外戦争が日本及び東アジア各地の政治・経済・社会・思想・文化に与えた影響を明らかにし、特に日本が展開した軍事戦略とその実行が中国社会に与えた衝撃を解明しようとするものである。言うまでもなく日中戦争は戦争自体が中国大陸で行われた。日本にとって、日中戦争は国家間の単なる軍事的な紛争に過ぎなかったが、中国側にとってみれば、それは中国の既存社会の旧秩序を全面的に破壊し、物理的・心理的に大きな傷を残すものであった。こうした観点から、本研究は、日中戦争における「非対称」的な諸側面(国家対国家、国家対民衆、民衆対民衆)を明らかにし、戦後の日中関係の原点を考察し、その分析を通じて日中間の歴史認識をめぐる和解にも貢献することを目指す。特に戦前日本の対外軍事行動の研究は、これまでアジア諸国の角度からの視点が欠落してきた。同時に、これまでの日本国内における研究蓄積も、海外において広く知られているとは言い難い。本研究は、日本と中国の対外行動、およびその背後にある国内要因を様々な角度から分析することによって、国際的な相互理解と異文化間の相互認識の深化に資するものとなろう。
(以下の研究組織は2014年10月1日現在のものです)

研究代表者 黄 自進 国際日本文化研究センター・外国人研究員
幹事 劉 建輝 国際日本文化研究センター・教授
共同研究員 相澤 淳 防衛省防衛研究所戦史研究センター・安全保障政策史研究室長
浅野豊美 中京大学国際教養学部・教授
家近亮子 敬愛大学国際学部・教授
井上寿一 学習院大学法学部・教授
王 柯 神戸大学大学院国際文化学研究科・教授
加藤聖文 国文学研究資料館・助教
黒沢文貴 東京女子大学現代教養学部・教授
小菅信子 山梨学院大学法学部・教授
佐藤卓己 京都大学大学院教育学研究科・准教授
澁谷由里 富山大学人文学部・准教授
姜 克実 岡山大学大学院社会文化科学研究科・教授
鈴木多聞 京都大学白眉センター・特定准教授
田嶋信雄 成城大学法学部・教授
段 瑞聡 慶應義塾大学商学部・教授
戸部良一 帝京大学文学部・教授 / 国際日本文化研究センター・名誉教授
波多野澄雄 筑波大学名誉教授/外務省「日本外交文書」編纂委員長
服部龍二 中央大学総合政策学部・教授
馬 暁華 大阪教育大学教育学部・准教授
松浦正孝 立教大学法学部・教授
松重充浩 日本大学文理学部・教授
劉 傑 早稲田大学社会科学総合学術院・教授
鹿 錫俊 大東文化大学大学院アジア地域研究科・教授