■研究活動 共同研究 2014年度

夢と表象―その統括と展望

領域 第2研究域 構造研究

 夢と文化現象との関係は根深く強く、その全体像もおよそ広大かつ多様である。そこで、これまで三年間にわたって、日本文化研究における夢と文化現象に関する問題の概観と、個別研究の推進による成果の提出、そして総合研究への展開を目指して、「夢と表象―メディア・歴史・文化」と題する共同研究を推進してきた。
 この研究が提示する「夢」と「表象」の関係は、時に直接的に、また必然的に結ばれ、時にはゆるやかに照応する。この二つのタームは、相互相関的に、研究の拡がりを往還するものとして設定されているのである。
 「夢と表象」プロジェクトでは、「夢」をキーワードに、日本の古代から現代までの現象を中心的対象として研究をすすめてきたが、それに留まらず、東アジアやヨーロッパにまで視野を拡げ、文学、歴史、美術、宗教、時間論など、参加メンバーがそれぞれ追求する個別のディシプリンに立脚しつつ、学際的な研究方法を目指してきた。その過程で、時にゲストスピーカーを招き、共同研究員と連携しつつ、より多様な比較文化史的かつ領域横断的な視点を取り入れて研究交流を行い、「夢」をめぐる表現形象や認識の在処を考究しようともつとめてきたのである。
 特に、多様な文化的コンテクストの中での夢のヴィジュアライゼーションに焦点を当てたのは、斬新な視点である。その表象が、さまざまな表現様式やメディアに移入され、また歴史的に推移したりする様態を分析することなども、研究上の一つの重要な骨格として構想してきた。
 こうして「夢と表象」研究は、三年間の区切りを経て、さまざまなフェーズをむかえ、メディア、歴史、文化、それぞれの側面において、多様な展開を見せ、新たな可能性を提示しつつある。
 本研究では、この「夢と表象」プロジェクトの統括と今後の展望について、一年間をかけて検討と検証を行い、統合的な研究成果の公表をさまざまなかたちで試みる。
(以下の研究組織は2014年10月1日現在のものです)

研究代表者 荒木 浩 国際日本文化研究センター・教授
幹事 マルクス・リュッターマン 国際日本文化研究センター・准教授
共同研究員 安東 民兒 羽衣国際大学現代社会学部・教授
池田 忍 千葉大学文学部・教授
入口 敦志 国文学研究資料館研究部・准教授
上野 勝之 元京都大学・非常勤講師
鍛治 恵 NPO法人睡眠文化研究会・事務局長
加藤 悦子 玉川大学芸術学部・教授
河東 仁 立教大学コミュニティ福祉学部・教授
木村 朗子 津田塾大学学芸学部・教授
笹生 美貴子 日本大学・非常勤講師
仙海 義之 公益財団法人阪急文化財団・学芸課長
高橋 文治 大阪大学大学院文学研究科・教授
立木 宏哉 東京大学大学院人文社会系研究科・博士後期課程
玉田 沙織 名古屋学院大学経済学部・講師
林 千宏 亜細亜大学経営学部・講師
平野 多恵 成蹊大学文学部・准教授
福島 恒徳 花園大学文学部・教授
藤井 由紀子 清泉女子大学文学部・准教授
松薗 斉 愛知学院大学文学部・教授
松本 郁代 横浜市立大学国際総合科学部・准教授
箕浦 尚美 大阪大学大学院文学研究科・助教
室城 秀之 白百合女子大学文学部・教授
伊東 貴之 国際日本文化研究センター・教授
榎本 渉 国際日本文化研究センター・准教授
郭 南燕 国際日本文化研究センター・准教授
倉本 一宏 国際日本文化研究センター・教授
早川 聞多 国際日本文化研究センター・教授
丹下 暖子 国際日本文化研究センター・機関研究員
中川 真弓 日本学術振興会・特別研究員(PD)
海外共同研究員 Ive Covaci Fairfield University (Fairfield, CT) (アメリカ) ・ASIANetwork-Luce Foundation Post-Doctoral Fellow in Japan Studies
Jörg B. Quenzer Universitaet Hamburg Asien- und Afrikastudien Japanologie (ドイツ)・Prof. Dr.
李 育娟 国立台湾師範大学華語文教学系・副教授