■研究活動 共同研究 2012年度

建築と権力の相関性とダイナミズムの研究

領域 第二研究域 構造研究

本研究は、建築と権力の相関性とダイナミズムを明らかにしようとするものである。権力者にとって、「どこで」意思決定を行うかということは、「いつ」、「どのように」行うのかということと併せて、極めて重要である。しかるに、これまでの権力をめぐる研究では、権力行使の空間に対する問題意識は希薄であった。本研究は、権力者が構築した建築物を通して、その重要性を明らかにするとともに、日本における権力のあり様を浮き彫りにしようとするものである。 本研究が明らかにせんと試みるのは、建築と権力の相関性とダイナミクスであり、つまるところ、日本における権力のあり様である。しかし、これまで日本における権力とは何かと問われれば、その答えは必ずしも一様ではありえない。実際、研究代表者のこれまでの研究(代表的成果として、御厨[2010]『権力の館を歩く』毎日新聞社)も、「近代以後」の「関東」における「政治権力」に特化してしまったことは否めないのである。 だが、考えてみれば、日本の権力は、そもそも関西にあったのではなかったか。さらに、近代、戦後、現在に至るまで、関西の権力の持つ意味は、依然大きいことは言うまでもない。それを無視した建築と権力の分析は、ありえないのではないか。そこで、本研究は関西地域の「権力の館」を積極的に取り上げ、それを関東地域の「権力の館」と比較考察することで、日本における権力のあり様の全貌を浮き上がらせようと試みる。

研究代表者 御厨 貴 国際日本文化研究センター・客員教授
幹事 井上 章一 国際日本文化研究センター・教授
共同研究員 五十嵐 太郎 東北大学大学院工学研究科・教授
池内 恵 東京大学先端科学技術研究センター・准教授
小宮 京 桃山学院大学法学部・講師
佐藤 信 東京大学先端科学技術研究センター・共同研究員
砂原 庸介 大阪市立大学大学院法学研究科・准教授
手塚 洋輔 京都女子大学現代社会学部・講師
中村 武生 都市史研究家
奈良岡 聡智 京都大学大学院法学研究科・准教授
牧原 出 東北大学大学院法学研究科・教授
松宮 貴之 書家