■研究活動 共同研究 2009年度
「満洲」学の整理と再編
領域 第五研究域 文化情報
ここ十数年、日中両国において、いわゆるコロニアリズムへの関心のもとで、かつて帝国日本最大の「植民地」だった旧「満州」に関する研究が著しく進展し、多くの成果を収めた。それは、史料の調査、整理、復刻等をはじめ、関係者の回想や聞き取り、またそれらを材料とする考証や分析などさまざまなアプローチにわたっており、そしてその多くはイデオロギーや個人の情緒に左右されやすいという従来の「満州」研究にありがちな通弊を克服し、より客観的なものとなっている。 しかし、一方、これらの研究は、往々にしていわゆる「満州国」のそれぞれの領域内に限定して行われ、そこに、「満鉄」付属地時代を含む「植民地」全体としての「満州」を構造的に捉える視点や、またその関内(中国)をはじめ、内地(日本)、朝鮮半島、ソ連などとの関連において多角的に検証する姿勢がけっして十分に成立したとは言い難い。それに政治や経済、軍事分野への偏重が依然として続いており、いわゆる「日人」「満人」双方の精神活動と行動原理に深く影響を与えた現地の社会や文化に関する考察がまだまだ希薄であるのも事実である。そのため、多くの研究成果が生まれたにもかかわらず、「満州」をめぐる全体像がいまだに構築できておらず、ましてやその中国や日本にとっての意味付けがほとんど実現されていないと言っても過言ではない。 本研究会では、以上の事情に鑑み、平成13年度~16年度に行われた共同研究「近代中国東北部(旧満州)文化に関する総合研究」の成果を踏まえつつ、可能な限り、構造かつ多角的な視点を通じて「満州」全体像の構築を目指し、あわせてその存在が中国や日本、また朝鮮半島において果たしてきた歴史的な役割とその意味を追究してみたい。
共同研究員 | 安藤 潤一郎 | 東海大学文学部・非常勤講師 |
---|---|---|
〃 | 井村哲郎 | 元新潟大学教授 |
〃 | 岡田英樹 | 立命館大学文学部・教授 |
〃 | 尾形洋一 | 財団法人日中友好会館・研究員 |
〃 | 金子 務 | 大阪府立大学名誉教授 |
〃 | 川島 真 | 東京大学大学院総合文化研究科・准教授 |
〃 | 川尻文彦 | 帝塚山学院大学人間科学部・准教授 |
〃 | 貴志俊彦 | 神奈川大学経営学部・教授 |
〃 | 岸 陽子 | 社団法人中国研究所・所員 |
〃 | 厳 平 | 日本学術振興会・外国人特別研究員 |
〃 | 小林善帆 | 徳川美術館・非常勤研究員 |
〃 | 島本 浣 | 京都精華大学・学長 |
〃 | 姜 克實 | 岡山大学大学院社会文化科学研究科・教授 |
〃 | 戦 暁梅 | 東京工業大学外国語研究教育センター・准教授 |
〃 | 孫 江 | 静岡文化芸術大学文化政策学部・准教授 |
〃 | 竹村民郎 | 元大阪産業大学教授 |
〃 | 単 援朝 | 崇城大学工学部・教授 |
〃 | 塚瀬 進 | 長野大学環境ツーリズム学部・教授 |
〃 | テレングト・アイトル | 北海学園大学人文学部・教授 |
〃 | 西原和海 | ・文芸評論家 |
〃 | 西村成雄 | 放送大学・教授 |
〃 | バイカル | 桜美林大学・准教授 |
〃 | 平石淑子 | 大正大学文学部・教授 |
〃 | 平野 健一郎 | 人間文化研究機構地域研究推進センター・センター長 |
〃 | 深尾葉子 | 大阪大学大学院経済学研究科・准教授 |
〃 | 松宮貴之 | 佛教大学文学部・非常勤講師 |
〃 | 南 誠 | 国立民族学博物館・日本学術振興会特別研究員(PD) |
〃 | 山田敬三 | ㈶孫中山記念会・参与・理事 |
〃 | 李 相哲 | 龍谷大学社会学部・教授 |
〃 | 劉 岸偉 | 東京工業大学外国語研究教育センター・教授 |
〃 | 上垣外 憲一 | 大手前大学総合文化学部・教授 |
研究代表者 | 劉 建輝 | 国際日本文化研究センター・准教授 |
幹事 | 稲賀繁美 | 国際日本文化研究センター・教授 |
共同研究員 | 井上章一 | 国際日本文化研究センター・教授 |
〃 | 牛村 圭 | 国際日本文化研究センター・教授 |
〃 | 小松和彦 | 国際日本文化研究センター・教授 |
〃 | 鈴木貞美 | 国際日本文化研究センター・教授 |
〃 | 松田利彦 | 国際日本文化研究センター・准教授 |
〃 | 黄 自進 | 国際日本文化研究センター・外国人研究員 |
〃 | 小都晶子 | 国際日本文化研究センター・機関研究員 |
海外共同研究員 | 王 中忱 | 精華大学人文学院・中国・教授 |
〃 | 韓 東育 | 東北師範大学歴史文化学院・中国・教授 |