■研究活動 共同研究 2003年度

出版と学芸ジャンルの編成と再編成-近世から近現代へ

今日、人間をめぐる環境が大きく問い直されており、学問研究のあり方にも、新たな変革が求められているが、まず、自らの足元をよく見つめ直すためには、われわれが当然のことのように思っている学問・芸術の諸ジャンルの形成過程をよくわきまえておくことも必要だろう。これらは、日本近現代において種々の教育やメディア(とりわけ出版)制度を通じて形づくられ、また、分岐と再編成を重ねながら一応の定着をみてきたものである。その多くは、西欧近代の概念と諸制度の移入によって、徳川時代のものが編成替えされたものが基本になっているが、さらに第二次大戦後の再度編成替えされたものもある。そのそれぞれの過程は、きわめて錯雑としたものでありながら、そのことが看過されたまま、今日にいたっている。それゆえ、徳川時代から今日にいたる学芸ジャンルの編成と再編成の様子を解明することが問われているといえよう。  しかし、それに必要な作業はあまりに多い。徳川時代から明治期にかけての出版の全体像は、その概要すら依然として解明されてない。西欧近代の基礎概念は、中国経由で輸入されたものが多いのだが、日本近現代における再編成過程とその内実の解明は依然として果たされていないし、そして、それらが、その後、中国・朝鮮半島のそれらに変化を促した軌跡の解明も必ずしもつまびらかになってはいない。とりわけジャンルの分類などについては、メディア全般やリテラシーなど文化全体の動向と関連させつつ検討する必要があり、そのためには、国際的かつ多分野にわたる研究者による総合的な観点からの共同研究が必須となる。  なお各分野の形成過程などの個別領域の先行研究者をゲスト・スピーカーとして招きつつ、進めてゆくつもりでいる。

代表者 鈴木 貞美 国際日本文化研究センター研究部・教授
幹事 マルクス・リュッターマン 国際日本文化研究センター研究部・助教授
班員 浅岡 邦雄 白百合女子大学図書館
阿毛 久芳 都留文化大学文学部・教授
荒木 正純 筑波大学文芸・言語学系・教授
有馬  学 九州大学大学院比較社会文化研究院・教授
池内 輝雄 帝京大学文学部・教授
石田あゆう 大阪樟蔭女子大学/神戸女学院大学/甲子園大学・非常勤講師
磯部  敦 中央大学大学院・博士課程後期
市古 夏生 お茶の水女子大学文教育学部・教授
井上  健 東京工業大学外国語研究教育センター・教授
今村 忠純 大妻女子大学比較文化学部・教授
大原 祐治 学習院高等科・教諭
梶山 雅史 東北大学大学院教育学研究科・教授
金子  務 帝京平成大学情報学部・教授
甘露 純規 愛知教育大学・非常勤講師
衣笠 正晃 法政大学法学部・助教授
ロバート・キャンベル 東京大学大学院総合文化研究科・助教授
酒井  敏 中京大学文学部・教授
佐藤 一樹 二松学舎大学国際政治経済学部・教授
佐藤バーバラ 成蹊大学文学部・教授
鈴木 俊幸 中央大学文学部・教授
鈴木 広光 奈良女子大学文学部・助教授
高木  元 千葉大学文学部・教授
竹内  洋 京都大学大学院教育学研究科・教授
竹村 民郎 大阪産業大学・客員教授
谷川 恵一 国文学研究資料館文献資料部・教授
津本 信博 早稲田大学教育学部・教授
十重田裕一 早稲田大学文学部・教授
十川 信介 学習院大学文学部・教授
中川 成美 立命館大学文学部・教授
中込 重明 法政大学・非常勤講師
中嶋  隆 早稲田大学教育学部・教授
林  正子 岐阜大学地域科学部・教授
目野 由希 国士舘大学文学部・専任講師
兵藤 裕己 学習院大学文学部・教授
福井 純子 立命館大学・非常勤講師
藤實久美子 学習院大学史料館・助手
真鍋 昌賢 大阪大学大学院文学研究科・助手
増田 周子 関西大学文学部・助教授
三品 理絵 佛教大学・非常勤講師
リース・モートン 東京工業大学・教授
山本 美紀 日本音楽教育学会・会員
安野 一之 国文学研究資料館・非常勤研究員
横田 冬彦 京都橘女子大学文学部・教授
吉川  登 大手前大学社会文化学部・教授
稲賀 繁美 国際日本文化研究センター研究部・助教授
猪木 武徳 国際日本文化研究センター研究部・教授
テモテ・カーン 国際日本文化研究センター海外研究交流室・助教授
佐藤 卓己 国際日本文化研究センター研究部・助教授
劉  建輝 国際日本文化研究センター研究部・助教授
小谷野 敦  国際日本文化研究センター ・著述業客員助教授