■研究活動 共同研究 1998年度
日本の語り物―口頭性・機構・意味―
叙事的な詞章に節をつけて語る声楽曲である語り物を、中国・朝鮮その他の文化の語りとの比較も行いながら、通時的また通ジャンル的に研究します。 日本文化における語り物の重要性は、目立たず無視されてきました。それは、近世以降、現代の文化の書記性が支配的だったからです。文字が導入され書記文化が普及した中世になってからも、語り物は、もっとも生き生きとした本質的な文化のかたちでした。日本のさまざまな芸能においては、伝統が強固で力が強く、それぞれのジャンルが、先行ジャンルからどのような影響を受け、何を吸収したのか、何を受け継いだのか、歴史的に明らかにします。 日本の語り物の流れに焦点をあてるとともに、それを世界的な人類文化の文脈におくことも必要であり、中国・朝鮮など近隣諸国の語り物にも目を向け、東アジア文化圏における日本の語り物の位置を探りたいと思います。 日本における語り物の伝統は、中国書記文明の入る前の古い文化層からでてきたものとも考えられ、地理的には遠く離れているが、なお無文字社会の伝統を強く持つ、アフリカの語り物の研究をも参考にして、人類に共通する語りの原理といえるものを明らかにする第1歩としたいと思います。 そのために音楽学だけでなく、文学・演劇・美術史・女性研究・人類学・民俗学さらには演奏家を含めて集まり、語り物の持つ言語的・音楽的・視覚側面の複雑な関係を探り、日本の語り物の歴史的通ジャンル的な研究を進めるとともに、語り物を担った人々、享受した人々、庇護した人々のイデオロギー・信仰・価値観・世界観・宇宙観を明らかにし、新たな展望を開きたいと思います。
代表者 | トキタ アリソン・イザベル レイ | 国際日本文化研究センター |
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幹事 | 光田 和伸 | 国際日本文化研究センター |
班員 | 井口 淳子 | 大阪音楽大学音楽学部 |
〃 | 川田 順造 | 広島市立大学国際学部 |
〃 | 蒲生美津子 | 沖縄県立芸術大学音楽学部 |
〃 | 小島 美子 | 国立歴史民俗博物館・名誉教授 |
〃 | 薦田 治子 | 東京芸術大学音楽学部 |
〃 | 田中悠美子 | 兵庫教育大学学校教育学部 |
〃 | 徳丸 吉彦 | お茶の水女子大学文教育学部 |
〃 | 中川 裕 | 千葉大学文学部 |
〃 | 兵藤 裕己 | 成城大学文芸学部 |
〃 | 藤田 隆則 | 大阪国際女子大学人間科学部 |
〃 | 山口 修 | 大阪大学文学部 |
〃 | 山下 宏明 | 愛知淑徳大学文学部 |
〃 | 山田智恵子 | 大阪音楽大学音楽学部 |
〃 | 横道萬里雄 | 沖縄県立芸術大学 |
〃 | シルヴァン・ギニャール | 大阪学院大学国際学部 |
〃 | スティーブン・ネルソン | 上野学園大学日本音楽資料室 |
〃 | マイケル・ワトソン | 明治学院大学国際学部 |
〃 | 小塩さとみ | 日本学術振興会特別研究員 |
〃 | 蒲生 郷昭 | 日本大学芸術学部 |
〃 | 斎藤 英喜 | 椙山女学園大学短期大学部 |
〃 | 澤田 篤子 | 大阪教育大学教育学部 |
〃 | 野川美穂子 | 東京芸術大学音楽学部 |
〃 | 橋本 裕之 | 千葉大学文学部 |
〃 | 細川 周平 | 東京工業大学大学院社会理工学研究科 |
〃 | アンドリュー・ガーストル | ロンドン大学東洋アフリカ研究学院 |
〃 | 井波 律子 | 国際日本文化研究センター |
〃 | 小松 和彦 | 国際日本文化研究センター |
〃 | 鈴木 貞美 | 国際日本文化研究センター |
〃 | 井上 章一 | 国際日本文化研究センター |
〃 | 落合恵美子 | 国際日本文化研究センター |
〃 | 早川 聞多 | 国際日本文化研究センター |
〃 | 長田 俊樹 | 国際日本文化研究センター |
〃 | 山田 奨治 | 国際日本文化研究センター |