資料展示
【宗田文庫】図版資料はしか絵
「錦絵」より:歌川芳虎画「麻疹後の養生」
文久2(1862)年 〔1枚 木版 35.6×24.5cm〕
江戸時代には幾度となく麻疹が流行。とりわけ文久2年に発生した麻疹は猛威を奮い、コレラ流行を経験した数年後の大惨事に、民衆間では混乱と社会不安が大いに掻き立てられました。動乱のさなか、同年の春夏には麻疹の予防や心得、病後の養生法などを附した「はしか絵」という錦絵が次々と刊行されます。また、人々は忍び寄る脅威からの回避や救済を神々に求め、その様子は「はしか絵」にも反映されました。「麻疹後の養生」では、疫病神と化した「麻疹」「ころり(コレラ)」「痢病(赤痢)」を、鐘馗たちが退治。添えられた詞書では、赤斑を伴い人体の皮肉間に発症する麻疹は、食養生を怠ると他病を併発し、死の危険性もはらむと警鐘が鳴らされます。
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歌川芳幾「はしかよけ」(文久2年[1862]) -
歌川芳幾「はしか養生草」(文久2年[1862]) -
作者不明「はやるはしかも今日翌ばかり」(不明[18--]) -
歌川芳艶「はしかのまもり」(文久2年[1862]) -
歌川芳艶「はしかまじないおしえ寶」(不明[18--]) -
歌川芳艶「はしかのまじなひたらやうの葉」(文久2年[1862]) -
歌川房種「麻疹心得之圖画」(文久2年[1862]) -
初代歌川芳宗「麻疹流行年數」(文久2年[1862]) -
初代歌川芳宗「麻疹を軽くする傳」(文久2年[1862]) -
月岡芳年「出雲國麻疹除御神」(文久2年[1862]) -
岳亭春信、歌川芳藤
「妙医甲斐徳本麻疹之来記」(文久2年[1862]) -
歌川房種「麻疹軽くする法」(文久2年[1862]) -
歌川芳虎「疹養生之傳」(文久2年[1862]) -
歌川芳藤「麻疹禁忌」(文久2年[1862]) -
歌川芳艶「麻疹手當之事」(文久2年[1862])
〈 所蔵資料の展示 〉日文研医学コレクションにみる東西医療文化史
日文研が所蔵する日本医療文化史コレクション「宗田文庫」と
西洋古典医学史コレクション「野間文庫」。
両文庫の貴重かつ豊かな資料の世界と、その魅力をご紹介します。
宗田文庫
「宗田文庫」は、医史学者の故・宗田一氏(1921-1996)が収集した日本の医学史や薬学史に関する一大コレクションです。「宗田文庫」には、およそ13,300冊の書籍のほか、錦絵や番付、護符、書簡、各時代の薬や手術道具など、日本の医学や医療の歴史だけではなく、それを取り巻く文化についても深く知ることのできる様々な貴重史料が揃っています。
本展示では、近世・近代を中心に、日本医療文化史料の多彩な魅力をご紹介します。
書籍ならびに図版資料の解説にあたっては、主として〔国際日本文化研究センター 宗田文庫目録編集委員会編『宗田文庫目録』書籍編・図版編、2001年〕を参照した。
【宗田文庫】図版資料
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飲食養生鑑 -
房事養生鑑 -
賢明馬鹿見立競 -
麻疹食物善悪鏡 -
見立番付為麻疹 -
越前南篠郡湯尾峠
御孫嫡子略縁起 -
八丈島正一位八郎大明 -
疱瘡守護神 -
佐藤進野邨素介宛書簡 -
長与専齋柴田承桂宛書簡 -
松本良順小野田篠庵宛
書簡 -
吉益東洞自筆
「範学一則」 -
薬種切手(銀壱両) -
きたいな名医難病療治 -
新板尾張ヨリ
伊勢参宮巡双六 -
大新板化物飛廻双六 -
新板女出世鏡飛廻雙六 -
大日本物産雙録 -
二十四気坐功法図 -
NEW!二世長谷川貞信「金化粧白粉」 -
NEW!効能書・鳥犀圓 -
NEW!効能書・梅花錠
【宗田文庫】書籍資料
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呉崑『脈語』 -
曲直瀬玄朔『済民記』 -
藤林普山『譯鍵』 -
貝原篤信『大倭本草』 -
本木了意訳/鈴木宗云撰次『和蘭全躯内外分合図』 験号(本文)と図譜 -
森嶋中良『紅毛雑話』 -
宇田川榛斎訳・宇田川榕菴校『和蘭薬鏡』 -
ポンペ口授/松本良順筆記『原病各論』 -
平野重誠『病家須知』 -
上野彦馬抄訳『舎密局必携』
【宗田文庫】もの資料
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【野間文庫】書籍資料
野間文庫
「野間文庫」は2003年春、野間科学医学資料館の閉館に伴って日文研に寄贈された西洋古典医学史料コレクションです。7000点にも及ぶコレクションの核となっているのは、1922年にビタミンEを発見し、また蔵書家としてもその名を知られるアメリカの医学研究者ハーバート・マクリーン・エヴァンズ Herbert McLean Evans(1882-1971)が収集した古書群。それらの史料は、西洋医学史を語る上で必見の貴重書であることはもちろんのこと、それらの状態は非常によく、繊細で巧みな図版を多く確認できることも大きな魅力です。
本展示では、解剖実験を初めて行ったヴェサリウスの『人体構造論』や顕微鏡を発明したレーウェンフックの『自然の秘密』、そして天然痘ワクチン開発者ジェンナーの『牛痘の原因および作用に関する研究』など、野間文庫の中でも選りすぐりの貴重書をご紹介。見事な図版も併せ、ぜひご覧ください。
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