■トピックス  2019年

2019-12-23 日文研の話題

【人コミュ通信】vol.2 桂坂小学校・出前授業インタビュー

人文知コミュニケーター(略して「人コミュ」)の光平が日文研の研究活動やイベント、所属研究者をマルっとご紹介する「人コミュ通信」。今回は、今月初めに桂坂小学校で行われた出前授業の様子をお届けします。日文研では例年、小学生にも研究活動の一端に触れてもらおうと近隣の京都市立桂坂小学校で出前授業を実施。今年度も10月から12月にかけて5名の研究者が授業を行いました。そのうち、12月5日に桂坂小学校で6年生の出前授業を担当された白石恵理助教(以下、白))とアストギク・ホワニシャン外国人研究員(以下、ホ))に、授業の内容や当日の様子などをインタビューしてきました!


Q1. 今回の授業では、どのようなお話をされましたか?タイトルと共に教えてください。
白)

「絵でみるアイヌの人びと」というタイトルで、「アイヌ民族は、日本列島にはるか昔から暮らしているにもかかわらず、今でもあまり詳しいことは知られていません。なぜでしょう?」をキークエスチョンに、アイヌの姿が描かれたさまざまな絵をみながら、アイヌの歴史といまについて一緒に考える授業を行いました。


ホ)

今回は「アルメニアという国」というタイトルのもと、アルメニアの歴史と文化、日本とアルメニアの共通点、そして日本とアルメニアの関係についてお話ししました。



Q2. 小学生(6年生)を対象とした授業を展開するにあたって、工夫された点や気を付けられたことがありましたら教えてください。
白)

もうすぐ中学生という多感な時期の人たちをあまり子ども扱いしないように気を付けました。内容自体は一般の大人向けと同程度とし、見せるスライドに、イラストや絵、写真をふんだんに使って興味を持ちやすいよう心がけました。難しい漢字には、大きく読み仮名もつけました。民族の歴史の過程では差別の問題は避けて通れない話題なので、事実は客観的に伝えつつ、最後は、来年のオリンピック・パラリンピックや、アイヌ文化を紹介する新施設の誕生など、明るいニュースで締めくくる構成にしました。


ホ)

日本では、あまりアルメニアについて知られていないため、今回の授業では多くの地図や写真を用いながら話を進めていきました。ただ、もっとアルメニアの小学生についても話をすればよかったかな…と振り返りつつ少し反省しています。また、対象が小学生ということもあり今回は、優生学や障がいの歴史といった自身の研究については触れませんでしたが、やはりわかりやすく研究内容についても説明すればよかったと後で思いました。



Q3. 最後に、授業を終えての感想を教えてください。
白)

「楽しかった!」のひとことです。アイヌの話題がどれだけ受け入れられるか不安でしたが、本を読んでいくらかの知識を持っていた生徒さんが予想外に多く、皆さん真剣に聴いてくれたので、落ち着いて話を進めることができました。終了後のアンケートを読むと、アイヌ民族に興味を持ったので、来年4月に北海道白老町にオープンする「ウポポイ」(国立アイヌ民族博物館を含む民族共生象徴空間)にぜひ行ってみたいと回答してくれた人がたくさんいて、とてもうれしかったです。アイヌの衣服を着るなどといったふれあい体験をしたいという声も多く、このような若い世代から今後の異文化理解が深まることを願います。桂坂小学校のみなさん、本当にありがとうございました!またお会いしましょう!


ホ)

生徒たちが積極的に参加し、たくさん質問をしてくれたので、とてもやりやすかったです。

白石助教による授業風景
ホワニシャン外国人研究員による授業風景
桂坂小学校