■トピックス  2019年

2019-11-20 日文研の話題

特別公開シンポジウム「天皇と皇位継承」を開催しました(2019年11月9日)

 11月9日、特別公開シンポジウム「天皇と皇位継承――過去と現在の視座」を開催しました。
 
 今回のイベントは京都府立京都学・歴彩館との共催で同館の大ホールを会場に実施し、当日は幅広い年齢層にわたる約400名が参加しました。
 
 荒木浩副所長と歴彩館の金田章裕館長による開会の挨拶、ならびにフレデリック・クレインス准教授による趣旨説明に続き、講演の第一部「古代の王権」ではまず、万葉集研究の第一人者、中西進日文研名誉教授が「『万葉集』と王権」と題し、『万葉集』で天皇がどのように記述され、大伴家持や柿本人麻呂ら万葉歌人が天皇という存在をそれぞれどのように考えていたかを、自説も交えて明快に解説しました。次いで、磯田道史准教授が加わり、飛鳥・奈良時代の王権と朝廷をめぐって対談が行われました。
 
 第二部「過去と現在の皇位継承」では、倉本一宏、ジョン・ブリーン両教授が、前近代ならびに近代から今日までの皇位継承の変遷と即位儀礼の特色について述べた後、君塚直隆・関東学院大学教授が、欧州王室との比較という観点から令和の皇位継承に至る経緯を振り返りました。最後に、楠綾子准教授が司会を務めた全員による座談会では、中西氏が投げかけた「日本にとって『皇室』とは何か」という命題をめぐり、現代の皇室における役割と伝統文化継承の問題、世襲制に対する課題等が議論され、今後の天皇制について国民一人ひとりが考え続けなければならない、と結ばれました。
和やかな雰囲気の第二部
講演を行うジョン・ブリーン教授
講演を行う君塚直隆教授
座談会の様子
講演を行う倉本一宏教授
講演を行う中西進日文研名誉教授
中西名誉教授と磯田准教授の対談