■トピックス  2019年

2019-03-25 日文研の話題

日文研・アイハウス連携フォーラムを開催しました(2019年2月20日)

 2月20日、東京都港区の国際文化会館講堂にて、日文研・アイハウス連携フォーラムを開催しました。

 本フォーラムは、公益財団法人国際文化会館(アイハウス)と連携し、現代日本と日本人への理解を多角的に深めるため、2014年から実施しています。16回目となる今回は、比較文化論・文明論を専門とする牛村圭・日文研教授が「明治日本オリンピック事始め――スポーツ文明論試論」と題して講演を行い、80名の参加がありました。

 幕末に欧米列強と不平等な条約を結んだ日本はその後、建前上は「文明国」となったものの、実際には「対等」とはほど遠い立場にあった。そのような日本が国際社会で対等に扱われた唯一の場がスポーツであり、近代オリンピックへの参加こそが、世界の「文明国」への仲間入りを果たした証と言えるのではないか――。講演で牛村教授は、最近、大河ドラマの舞台ともなった1912年のストックホルム大会を取り上げ、日本人選手初参加までの道程を明治期の文献や報道記事等からつぶさに分析し、文明としてのスポーツの意義をユーモラスな語り口で解き明かしました。特に、自身もかつて陸上部に所属し、時々OBとしてコーチも引き受ける立場から、出走法(クラウチングスタート)等の具体的なルール解説には熱がこもっていました。

 講演後には、コメンテーターをお願いした三谷博・東京大学名誉教授の発言に加え、著名な体育史家である木下秀明・元日本大学教授からのコメントも得て、参加者からは「期待以上におもしろかった」という感想が多く聞かれました。