■トピックス  2019年

2019-01-30 日文研の話題

日文研のこれからを考える―清華大学人文社会科学学院 汪暉教授をお招きして

 1月22日(火)15時より、2018年度第1回所長主宰研究談話会「人文学の未来を考える」の企画として、汪暉教授との対話を目指したワークショップが行われた。汪暉教授は、日文研が2016年に協定を結んだ清華大学の人文社会科学学院所長であり、『思想空間としての現代中国』、『世界史の中の東アジア』など数多くのご著書がある。それらの知見を人文社会科学学院での実践に活かし、また世界各地の研究者とのネットワークを広げて活躍されている研究者である。

 ワークショップでは、小松和彦所長の挨拶に続き、総合司会の磯前順一教授より汪暉教授のご紹介がなされ、続いて、コーディネーターの安井眞奈美が、人文社会科学学院の将来構想や取り組み、経営方針、高等研究院の可能性などを参考に、日文研の将来について考えるディスカッションにつなげたいと、趣旨説明を行った。その後、荒木浩教授より、日文研の活動全般について紹介がなされた。

 汪暉教授のご発表では、学際的・国際的な研究を目指した、人文科学を中心とした清華大学の研究所としての性格が示された。また、5人の多彩なスタッフや長期・短期滞在の研究員の紹介、分野を超えた国際シンポジウムの企画、さまざまな大学の大学院生に開かれたプラットフォームとしての研究所の教育、英語での研究成果の出版などが、数多くの写真とともに紹介された。汪暉教授の発表は英語、ディスカッションは英語と日本語で行われ、磯前教授が通訳を務めた。

 「「高等研究院」の特徴と今後の可能性」と題したディスカッションでは、清華大学人文社会科学学院の取り組みについて、プラットフォームとしての若手研究者との活発な議論が参考になるとのコメントや、日本研究、アジア研究の現状、財政状況や成果主義への対応、英語での成果出版の意義など、さまざまな質問が出され、汪暉教授が丁寧に応えられた。また、日文研に滞在中の北京外国語大学北京日本学研究センター長の郭連友教授からもコメントと質問がなされた。汪暉教授を囲んだ、たいへん有意義なディスカッションとなった。最後に安井が、清華大学人文社会科学学院と日文研の今後のさらなる交流の可能性を示して、閉会となった。
 

(文・安井眞奈美 研究部 教授)
参加者からコメントや質問がなされた②
ワークショップ後の記念撮影
発表を行う汪暉教授
ワークショップの様子
参加者からコメントや質問がなされた①