■トピックス  2019年

2019-01-24 日文研の話題

清華大学 人文社会科学学院 汪暉教授によるセミナーを開催しました(2019年1月18日)

 1月18日(金)、日文研セミナー室1にて清華大学 人文社会科学学院 汪暉教授をお招きし、The Beginning of the Century: Imperialism, Nationalism and Cosmopolitanism in Early 20th Century Chinaと題してセミナーが開催されました。講演は中国語で行われ、劉教授が随時日本語に訳す形で行われました。

 汪暉教授は、19世紀および20世紀の世界史に関する代表的な研究が、必ずしも中国史には適用できないという問題を指摘した上で、まずヨーロッパのグレゴリウス暦に基づく「century(世紀)」という概念を用いた時代認識が20世紀初めに中国に導入されたことの画期性を述べられました。「世紀」概念の導入は、梁啓超(1873~1929)の帝国主義研究に見るように、中国史を世界史的な同時性の中で捉える発想を生みましたが、こうした国際的な普遍性を重視する立場は、中国という場の歴史的文脈を軽視する傾向も持っていました。このことを踏まえて汪暉教授は、中国という場の特殊性を強調する章太炎(1868~1929)らの議論を取り上げつつ、20世紀中国史の理解における普遍性(universal)と特殊性(singular)について論じました。以上の報告に対して、榎本准教授・磯前教授・伊東教授から質問が寄せられ、汪暉教授から回答が行なわれました。

 所内の研究者、大学院生だけでなく所外からも研究者が参加し、活発な意見が交わされました。
 
劉教授(左)と汪暉教授(右)
会場の様子