■トピックス  2018年

2018-10-19 日文研の話題

[日文研コレクション展リポート]「描かれた『わらい』と『こわい』展―春画・妖怪画の世界―」開催中です

 国際日本文化研究センター(日文研)では10月16日より、妖怪画・春画の所蔵コレクションを一般に紹介する初めての本格的展覧会「描かれた『わらい』と『こわい』展―春画・妖怪画の世界―」を細見美術館にて開催しています。初日から200人を超える観客が訪れ、好調な出足を見せています。前日15日には内覧会が開催され、一足早く鑑賞してきましたので、少しだけ見どころをご紹介します。

 細見美術館および京都新聞との共同主催による本展覧会では、日文研が長年収集してきた妖怪画・春画のコレクション750余点のうち、精選した約150点を紹介しています。会場の構成は、「イントロダクション」に始まり、「生・性・死」「復讐する幽霊/退治される妖怪」「不思議な生き物/おかしな生き物」「おおらかな信仰」「わらい/戯れ」「おもちゃ絵―妖怪で遊ぶ、性で遊ぶ」となっていて、全体を通じ、江戸前期から幕末までの名だたる浮世絵師の作品が勢揃いしていることに、今さらながら驚かされます。菱川師宣を皮切りに、歌川豊国、鳥居清長、奥村政信、鈴木春信、西川祐信、月岡芳年、葛飾北斎、歌川国芳、河鍋暁斎などなど、それぞれの絵師が密かに繰り広げていた意外な世界観が堪能できます。

 日文研コレクションには従来、質の高い版画が多数含まれていることは知られていましたが、画幅や巻物形式による肉筆画が予想以上に多いことも発見でした。円山応挙の長男応瑞筆と伝わる[小町十相図]や、絵師不明の[地獄草紙絵巻][地獄絵図]等、見応えある作品が続くコーナーはおすすめです。それから、最後の「おもちゃ絵」セクションもじっくりお楽しみください。

 もちろん今回が初公開となる、「妖怪春画絵巻」(絵師不明)と「俳諧女夫まねへもん」(磯田湖龍斎筆、長らく所在不明だった3図)はお見逃しなく。また、展示作品の一つである鳥居清長筆の名作「袖の巻」の製作工程を約200年ぶりに蘇らせた「春画復刻プロジェクト」事業についても、実際の復刻作と映像で詳しく紹介しています。

 本展は、大学共同利用機関法人人間文化研究機構「博物館・展示を活用した最先端研究の可視化・高度化事業」の一環として実施されています。会期は12月9日まで(展示替えがありますのでご注意ください)。
 
(文・白石恵理 総合情報発信室 助教)