■トピックス  2017年

2017-12-27 日文研の話題

ニュージーランド・アジア学会国際集会(New Zealand Society of Asian Studies International Conference)で安井教授が基調講演を行いました(2017年11月29日)

 11月27~29日に行われたNew Zealand Asian Studies Society (NZASIA) Conferenceに安井眞奈美教授が参加し、その3日目に“The image of a spirit of a dead pregnant woman; towards a comparative study of the spiritual world”と題し基調講演を行いました。
 これは2016年にニュージーランド、オタゴ大学で行われた日文研・オタゴ大学共催の海外シンポジウムでオタゴ大学側代表の将基面貴巳先生より依頼があったもので、昨年の交流を契機とした研究交流により今回の講演が実現しました。
 国際集会開催の前日には、オタゴ美術館で26人のミャンマーの芸術家による展覧会を兼ねたレセプションが開催され、参加者は美術作品を見ながら自己紹介や情報交換を行い、和やかな時間を過ごしました。
 3日間にわたる国際集会では、中国、インド、日本、東南アジアなどの地域について、歴史学、政治学、文学、人類学、カルチュラル・スタディーズ、ジェンダー・スタディーズなどさまざまな分野の発表が5つの会場に分かれて行われ、活発な質疑応答が続きました。日本に関連した発表には、歴史研究に加え、少女マンガやスーパー歌舞伎、ヤノベケンジの作品分析などポップカルチャーの研究も含まれ、幅広い関心が窺えました。また、女性の参加者が多かったこともあり、最終日に行われたインドの代理母についての報告では、時間を延長して活発な議論が行われました。
 基調講演は、初日にオーストラリア国立大学のJane Ferguson講師が東南アジアの航空産業の仕事についてのエスノグラフィーを、2日目にシンガポール国立大学南アジア研究所所長のSubrata K. Mirta教授がインドの政策を進めていく際の知性と秩序のあり方について講演しました。3日目には安井教授が上述のタイトルで講演を行い、産死者の妖怪である日本の姑獲鳥(ウブメ)を、広くアジアの中で捉えていく比較研究の視点を提示しました。発表後にはシンガポールやフィリピンの研究者から、ウブメに似た産死者の妖怪について事例が提供されたり、比較研究のために設定した分析概念について、貴重な意見が寄せられたりしました。
 ランチタイムには、オタゴ大学の学生やスタッフ、地元の方々のクラブによる和太鼓やガムランの演奏なども行われました。パフォーマンスを楽しみながら、参加者同士の会話も弾みました。また、懇親会では、各自が研究の今後について抱負を語るなど、親交を深めることができました。
 
 また、これに先立ち安井教授はオークランド大学文化・語学・言語学学科アジア研究部門の企画で行われたセミナーにも参加し、日本の妖怪画について、姑獲鳥(ウブメ)を中心とした図像的な分析による発表を行いました。現在、外国人研究員として日文研に滞在している文化・語学・言語学学科アジア研究部門のローレンス・マルソー上級講師、エレン・ナカムラ准教授のほか、大学院生も参加し、鋭い質問やコメントが出されました。マルソー上級講師の司会によるディスカッションは、大いに盛り上がりました。セミナーの後に懇親会が開かれ、大学院生の皆さんの研究テーマなどについても話題が及び、充実した情報交換の時間となりました。

NZASIA Conference Speakers and Program
基調講演を行う安井教授
和太鼓のパフォーマンス
安井教授とオークランド大学の皆さん
オークランド大学 文化・語学・言語学学科アジア研究部門セミナー資料