■トピックス 2017年
2017-07-28 日文研の話題
日文研木曜セミナー「出産の怪-妖怪画を中心に」を開催しました(2017年7月20日)
4月に着任した安井眞奈美教授が、母系社会であるパラオ共和国でのフィールドワークや奈良県十津川村での出産に関する調査など、これまでに自身が行ってきた調査を紹介した後、出産の怪としてウブメを中心に妖怪画を用いて発表を行いました。妊産婦の死亡は決してまれなものではなく、その中で出産と死という二重のケガレから妊婦が死亡すると血の池地獄に落ちてウブメになると考えられていました。そのため、妊婦の腹を裂いて母子を別々に埋葬する習俗が各地にあったことを紹介。また、ウブメは近世に入ってから描かれており、白装束をまとい赤子を抱いているなどの特徴を説明しました。
さらに、出産の怪について、インドネシアのポンティアナク(鳥または女の姿)や中国の姑獲鳥(鳥の姿)と日本の産女(女の姿)を比較し、あわせて韓国には同様の怪がいないことを紹介しました。
最後に、出産の怪から身体の怪として、「1つ目」や「手の目」、「目目連」などの妖怪画を紹介し、「目目連」と「八ん目図小絵馬」の目の表現には関連が想像でき、今後は妖怪の身体・身体の妖怪を調べていきたいと抱負を語りました。
その後、コメンテーターの國學院大學 飯倉義之准教授から出産と妖怪について、ウブメを間におくことで整理がされたことについてコメントがあり、妖怪は文化そのもので、文化の違いによって妖怪のとらえ方が異なることの紹介がありました。