■研究活動 共同研究 2018年度

「運動」としての大衆文化

領域 重点共同研究

 現在、学術的関心の対象としてあるまんが・アニメーション・音楽等のポピュラーカルチャーの多くは少なくとも'70年代の時点では「抵抗文化」(カウンターカルチャー)と呼ばれていた。しかし、web上などでの「音楽に政治を持ち込むべきではない」「いや、ロックは元々も政治的だった」という論争があったことにも呼応するかのように、現在の学術的ポピュラーカルチャー研究は「政治」的文脈、「社会」的文脈をともすれば忌避する傾向が強い。いわゆる「クールジャパン」が官製文化運動であることは自明である。大衆文化はあらゆる政治運動と常に不可分であり、同時に大衆文化そのものが無自覚な政治運動、文化運動としての輪郭を結んできた例も少なくない。
 この共同研究はまんが・アニメ等のいわゆるポピュラーカルチャーを下からの運動(抵抗文化)、上からの運動(プロパガンダ、動員)双方として、あるいはその軋轢や野合、そして、大衆文化内において「運動」として捉え直し得る潮流を掘り起こし、評価してみようと思う。恐らくそこには分野ごとに分断され、新しい領域でありながら早くも見通しが利かなくなっている「歴史のダイナミズム」が読みとれるはずである。
 大衆文化を政治や歴史から切り離して研究する愚かさから決別したい。
(以下の研究組織は2018年8月9日時点のものです)

研究代表者 大塚 英志 国際日本文化研究センター・教授
共同研究員 アルバロ・ダビド・エルナンデス・エルナンデス 国際日本文化研究センター・プロジェクト研究員
山本 忠宏 神戸芸術工科大学先端芸術学部・助教/国際日本文化研究センター・客員准教授
前川 志織 国際日本文化研究センター・特任助教
金 日林 国際日本文化研究センター・外国人研究員
板倉 史明 神戸大学大学院国際文化学研究科・准教授
内田 力
菊地 暁 京都大学人文科学研究所・助教
北田 暁大 東京大学大学院情報学環・教授
近藤 和都 日本学術振興会特別研究員(PD)
嵯峨 景子 明治学院大学・非常勤講師
佐野 明子 桃山学院大学国際教養学部・准教授
杉本 仁 柳田国男研究会・会員
鈴木 麻記 東京大学大学院学際情報学府・大学院生
鈴木 洋仁 事業構想大学院大学・准教授
團 康晃 大阪経済大学人間科学部・専任講師
鶴見 太郎 早稲田大学大学院文学研究科・教授
石田 美紀 新潟大学人文学部・准教授
萩原 由加里 帝京大学・講師
ビョーン=オーレ・カム 京都大学文学研究科・講師
藤岡 洋 東京大学東洋文化研究所・助教
牧野 守 映画史研究家
松井 広志 愛知淑徳大学創造表現学部・講師
室井 康成 専修大学・非常勤講師
雑賀 忠宏 京都精華大学国際マンガ研究センター・研究員
竹村 民郎 元大阪産業大学教授
川松 あかり 東京大学大学院総合文化研究科・大学院生
藤嶋 陽子 東京大学大学院学際情報学府・大学院生
執行 治平 東京大学大学院学際情報学府・大学院生
花田 史彦 京都大学大学院教育学研究科・助教
香川 雅信 兵庫県立歴史博物館・主査・学芸員
上原 功一 フリーランスクリエイター
谷島 貫太 二松學舎大学文学部・専任講師
滝浪 佑紀 城西国際大学メディア学部・准教授
櫻木 千恵 神戸鈴蘭台高等学校・教諭
北浦 寛之 京都大学大学院人間環境学研究科・研究員
川口 典成 劇団ピーチャム・カンパニー・代表・演出
海外共同研究員 浅野 龍哉 北京外国語大学日本語学部・専家
蔡 錦佳 東華印刷局・グラフィックデザイナー
斉 梦菲 北京外国語大学北京日本学研究センター・大学院生
秦 剛 北京外国語大学北京日本学研究センター・副教授
Mark STEINBERG コンコルディア大学・准教授