■研究活動 共同研究 2016年度
戦争と鎮魂
領域 第1研究域 動態研究
人類の歴史は、戦争の歴史でもある。氏族、部族、国家、あるいは複数国からなる連合・連盟といったさまざまな集団が、あるときは己の利益を追い求め、ときには自集団の名誉を守るため、他者との戦いを繰り広げてきた。敵対する相手と面と向かっての格闘から、銃などの兵器を用いての戦闘、さらには戦車や軍艦、戦闘機、そして核兵器へと武器や戦術は変化を遂げていったものの、戦争の不可避の結果として、勝者と敗者を問わず、戦いの過程では多数の死傷者が生まれてきた。また、戦乱に巻き込まれた非戦闘員が命を落とすことも、稀ではなかった。
先人たちは、戦い終えてのち、戦争で落命した者へいかように対処してきたのだろうか。補償という現実的な問題とは別に、戦死者の魂を鎮めるためのさまざまな行為も、時代や地域を異にしても、古くよりあったものと思われる。そういう古今東西の鎮魂の営みには、顧みて普遍性も見られるであろうし、一方、特殊性も看取されることであろう。
本共同研究は、歴史学、宗教学、政治学、文化人類学、文学、社会学等々の、参加者の専攻分野を背景にした、古今東西にわたる重厚な学際的事例研究の報告と、それへの議論の積み重ねから成り立つ形で進行する。昨今の日本では、さきの大戦の戦死者の鎮魂をめぐる議論が政治問題化することが多く、鎮魂の原義が忘却されているようにさえ思われることが少なくない。本共同研究の展開が、日本の戦争、そして鎮魂の理解の深化にも寄与するような、純粋な学問の集いとなることを念じている。
研究代表者 | 牛村 圭 | 国際日本文化研究センター・教授 |
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幹事 | ジョン・ブリーン | 国際日本文化研究センター・教授 |
共同研究員 | 岩崎 徹 | 横浜市立大学国際総合科学部・准教授 |
〃 | 大東 和重 | 関西学院大学法学部・教授 |
〃 | 加藤 めぐみ | 明星大学人文学部・教授 |
〃 | 川村 覚文 | 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属 共生のための国際哲学研究センター(UTCP)・特任助教 |
〃 | 川本 玲子 | 一橋大学大学院商学研究科・准教授 |
〃 | 金 志映 | 東京大学教養学部附属教養教育高度化機構「多文化共生・統合人間学プログラム」 ・特定短期特任研究員 |
〃 | 栗原 俊雄 | 毎日新聞学芸部・記者 |
〃 | 古田島 洋介 | 明星大学人文学部・教授 |
〃 | 小堀 馨子 | 帝京科学大学 総合教育センター・准教授 |
〃 | 佐伯 順子 | 同志社大学社会学部・教授 |
〃 | 谷口 幸代 | お茶の水女子大学・准教授 |
〃 | 竹村 民郎 | 元大阪産業大学教授 |
〃 | 等松 春夫 | 防衛大学校・教授 |
〃 | 永井 久美子 | 東京大学大学院総合文化研究科・助教 |
〃 | 西原 大輔 | 広島大学大学院教育学研究科・教授 |
〃 | 眞嶋 亜有 | 明治大学国際日本学部・専任講師 |
〃 | 竹ノ内(吉井) 文美 | 山形大学人文学部人間文化学科・専任講師 |
〃 | 吉田(古川) 優貴 | 明治学院大学社会学部付属研究所・研究員 |
〃 | 末木 文美士 | 国際日本文化研究センター・東京大学名誉教授 / 総合研究大学院大学 |
〃 | 堀 まどか | 大阪市立大学大学院アジア都市文化学科・准教授 |
〃 | 今泉 宜子 | 国際日本文化研究センター・客員准教授 / 明治神宮国際神道文化研究所・主任研究員 |
〃 | 稲賀 繁美 | 国際日本文化研究センター・副所長 / 教授 |
〃 | 倉本 一宏 | 国際日本文化研究センター・教授 |
〃 | 松田 利彦 | 国際日本文化研究センター・教授 |
〃 | 劉 建輝 | 国際日本文化研究センター・教授 |
〃 | 磯前 順一 | 国際日本文化研究センター・教授 |
〃 | 郭 南燕 | 国際日本文化研究センター・准教授 |
〃 | 平松 隆円 | 東亜大学・准教授 |
〃 | 西田 彰一 | 総合研究大学院大学文化科学研究科・大学院生 |
〃 | 南 直子 | 総合研究大学院大学文化科学研究科・大学院生 |
海外共同研究員 | 徐 載坤 | 韓国外国語大学校・教授 |
〃 | Kevin DOAK | Georgetown University・教授 |
〃 | Eyal BEN-ARI | Kinneret College on the Sea of Galilee・Director |