■研究活動 共同研究 2012年度

人文諸学の科学史的研究

領域 第一研究域 動態研究

学問の歴史をふりかえる科学史研究は、おもに、理科系の分野でこころみられてきた。科学が時代や社会、そして企業や国家に左右される様子をとらえた仕事は、数多くつみかさねられている。しかし、文化系のいとなみに、こうした分析がほどこされることは、あまりない。今回の共同研究では、いままでややおろそかにされてきた歴史学や文学などを、科学史的にふりかえることがこころざされている。 言うまでもないことだが、人文系の諸学問にも、時代色はある。われわれは古い論文を読む時、それが書かれた時代の流れを、いやおうなく感じされられるものである。今回の共同研究では、そういう時代色のありようを浮かびあがらせることに、つとめたい。各分野の研究者が学問史をふりかえり、それらをたがいにくらべあう。そうすることで、超分野的に研究者たちがまきこまれた時流、あるいは、あるかぎられた分野にしかおよばなかった時流のちがいなどを、見きわめたい。 大学による学風、学統の実相も、この作業をつうじてあきらかになってゆくだろう。われわれは、たとえば関東と関西の学問に、地域的なかたよりのあることを、体験的に知っている。こうした要素が、じっさいのところどのように、またどのていどまで研究を左右するのかも、つきとめたい。 理科系の場合とちがい、人文系の諸学問がスポンサーシップでゆらぐことはあまりないだろうと、とりあえず予想される。しかし、それはまったくないと言っていいのか。社会的な要請にこたえようとする力みが、研究を左右するケースも、どこかにはひそんでいるかもしれない。 さまざまな観点から、学問の中立性をゆがめるだろう諸要因を、ときあかす。

研究代表者 井上 章一 国際日本文化研究センター・教授
幹事 瀧井 一博 国際日本文化研究センター・准教授
共同研究員 今谷 明 帝京大学文学部・特任教授(日文研名誉教授)
上島 享 京都府立大学文学部・准教授
上村 敏文 ルーテル学院大学・准教授
鵜飼 正樹 京都文教大学人間学部・教授
内田 忠賢 奈良女子大学大学院人間文化研究科・教授
長田 俊樹 総合地球環境学研究所研究部・教授
小路田 泰直 奈良女子大学文学部・教授
斎藤 成也 国立遺伝学研究所・教授
関 幸彦 日本大学文理学部・教授
高木 博志 京都大学人文科学研究所・教授
高谷 知佳 京都大学大学院法学研究科・准教授
竹村 民郎 元大阪産業大学教授
玉木 俊明 京都産業大学経済学部・教授
鶴見 太郎 早稲田大学文学学術院・教授
シルヴィオ ヴィータ 京都外国語大学外国語学部・教授
藤原 貞朗 茨城大学人文学部・教授
安田 敏朗 一橋大学大学院言語社会研究科・准教授
若井 敏明 仏教大学・非常勤講師
大塚 英志 国際日本文化研究センター/神戸芸術工科大学大学院・客員教授/教授
林 淳 国際日本文化研究センター/愛知学院大学文学部・客員教授/教授
荒木 浩 国際日本文化研究センター・教授
伊東 貴之 国際日本文化研究センター・教授
倉本 一宏 国際日本文化研究センター・教授