■研究活動 共同研究 2011年度

夢と表象-メディア・歴史・文化

領域 第二研究域 構造研究

夢と文化現象との関係は根深く強く、その全体像もおよそ広大かつ多様である。そこで、日本文化研究におけるこの問題の概観と、個別研究の推進と寄与、そして総合研究への展開を目指して、「夢と表象」と題する、共同研究を組織する。 本研究がテーマとして呈示する「夢」と「表象」の関係は、時に直接的にまた必然的に結ばれ、時にはゆるやかに照応する。すなわちこの二つのタームは、相互相関的に、研究の拡がりを志向するものとして設定される。このプロジェクトでは、「夢」をキーワードに、日本の古代から現代まで、また、東アジアやヨーロッパまで視野を拡げて、文学、歴史、美術、宗教、時間論など、研究者それぞれが専門的に推進するディシプリンに立脚しつつ、同時に比較文化史的な、また領域横断的な視点を取り入れて研究交流を行い、その表現や認識の在処を考究しようとするものである。たとえば、いろいろな文化的コンテクストの中で、夢がヴィジュアルに表象される場合に、その表象が、さまざまな表現様式やメディアに移入され、また歴史的に推移したりする様態の分析などを、研究上の一つの骨格として構想する。 一方で、研究代表者がこれまで関わってきた、「〈心〉と〈外部〉―表現・伝承・信仰と明恵『夢記』」などにおけるテーマ性と対象を継承して展開し、明恵『夢記』などの具体的な文献解読を、共同研究員、既存の研究グループや海外共同研究員等とも連携しつつ進めることも計画している。また近時、私に関心を深める夢・コトバと〈フキダシ〉―それは、現代文化の顕著な表徴である―相互の文化史的関連について、通史的、かつグローバルな研究展開として追いかけたい。共同研究員には、夢の絵画表象について関心と蓄積を持つ、国内外の研究者が多く参加している。 およそ近年、スピリチュアリティなど、人間の思考の外部性に対する関心は高く、夢もその問題に深く関わる。またモノと心性と文化表象の在処というのも、重要な関連テーマである。本共同 研究では、そうした周辺的問題へも、広く関心を及ぼしたい。また、研究環境の構築のために、「夢」に関する研究史的成果とデータを広く収集することを試みるとともに、3年間の研究期間の中で、適宜新しい情報を吸収すべく、話題提供者を招いたり、外部研究グループと研究情報の交流を行うなどして、研究の有機的展開を志向する。

研究代表者 荒木 浩 国際日本文化研究センター・教授
幹事 Markus RÜTTERMANN 国際日本文化研究センター・准教授
共同研究員 安東 民兒 羽衣国際大学産業社会学部・教授
池田 忍 千葉大学普遍教育センター・教授
入口 敦志 国文学研究資料館・研究部・助教
上野 勝之 京都大学総合人間学部・非常勤講師
河東 仁 立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科・教授
加藤 悦子 玉川大学芸術学部・教授
高橋 文治 大阪大学大学院文学研究科・教授
丹下 暖子 摂南大学・非常勤講師
林 千宏 大谷大学・神戸女学院大学・非常勤講師
平野 多恵 十文字学園女子大学短期大学部・准教授
福島 恒徳 花園大学文学部・教授
藤井 由紀子 清泉女子大学文学部・専任講師
松薗 斉 愛知学院大学文学部歴史学科・教授
松本 郁代 横浜市立大学国際総合科学部・准教授
室城 秀之 白百合女子大学文学部国語国文学科・教授
木村 朗子 国際日本文化研究センター・客員准教授 / 津田塾大学学芸学部・准教授
倉本 一宏 国際日本文化研究センター・教授
早川 聞多 国際日本文化研究センター・教授
伊東 貴之 国際日本文化研究センター・教授
郭南 燕 国際日本文化研究センター・准教授
榎本 渉 国際日本文化研究センター・准教授
楊暁 捷 国際日本文化研究センター(カルガリー大学教授)・外国人研究員
箕浦 尚美 国際日本文化研究センター・プロジェクト研究員
中川 真弓 日本学術振興会・特別研究員(PD)
海外共同研究員 Jorg B. Quenzer Universitaet Hamburg Asien- und Afrikastudien Japanologie ・Prof. Dr.
李 育娟 国立台湾師範大学 国際華語與文化学系・助理教授
Ive Covaci Fairfield University (Fairfield, CT)・ASIANetwork-Luce Foundation Post-Doctoral Fellow in Japan Studies