■研究活動 共同研究 2010年度

日記の総合的研究

領域 第五研究域 文化情報

人は何故、日記を記すのであろうか。言い換えれば、日記を記すことによって、日本人はいったい、何を得ようとしていたのであろうか。 文学者たちは何故、日記という形式を用いて、自己の作品を世に問うたのであろうか。さらに、貴族たちは、何故にあのような膨大な日記(古記録)を記し続けたのであろうか。 本研究においては、日本史学(日本古代史・中世史・近世史・近代史・文化史)、日本文学(日本中古文学・中世文学・近代文学)、そして心理学(臨床心理学を含む)、それぞれの分野における第一線の研究者を一堂に集め、研究会における議論を集積することによって、日記と日本人との関わりを、総合的に究明しようとするものである。 それぞれの記主の立場と記載目的、記述の内容と意義を読み解きながら、時代の特質と変化、また作品の本質を探り出し、さらには「日記」と呼ばれるものの分類や、その評価、享受史の観点など、既往の研究を超える角度からの解明も行ないたい。 その際、単にそれぞれの研究員が、自分の専門分野とする古記録(あるいは作品)に関する研究発表を行なうのみではなく、たとえば一つの古記録を題材として、異なる分野の研究者が、複数の研究発表を行なえば、どのような化学変化が生じることになるのか、本研究は、そのような実験的な試みをも、視野に入れている。 なお、将来的には、中国や西洋の日記との比較という視点も視野に入れている。 これらの研究発表のもたらす成果は、お互いにとっての知的刺激となるのみならず、それぞれの得意分野においても、必ずや有益な体験となり、新たな研究成果を生み出す契機となるであろうことを予測している。

研究代表者 倉本 一宏 国際日本文化研究センター・教授
幹事 Timothy D. KERN 国際日本文化研究センター・助教
共同研究員 蘭 香代子 駒沢女子大学人文学部・教授
有富 純也 東京大学大学院人文社会系研究科・助教
池田 節子 駒沢女子大学人文学部・准教授
石田 俊 元京都大学大学院文学研究科研究員
板倉 則衣 元中央大学院生
井原 今朝男 国立歴史民俗博物館歴史研究部・教授
磐下 徹 関東学園大学経済学部・講師
上島 享 京都府立大学文学部・准教授
上野 勝之 京都大学大学院人間・環境学研究科・研究生
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館・准教授
尾上 陽介 東京大学史料編纂所・准教授
久冨木原 玲 愛知県立大学日本文化学部・教授
小嶋 菜温子 立教大学文学部・教授
佐藤 全敏 信州大学人文学部・准教授
佐藤 泰弘 甲南大学文学部・教授
古藤 真平 元古代学研究所 助教授・元奈良文化財研究所 特別研究員
下郡 剛 沖縄工業高等専門学校総合科学科・准教授
シャバリナ・マリア 京都大学大学院文学研究科・博士後期課程
末松 剛 京都造形芸術大学芸術学部・准教授
菅原 昭英 駒沢女子大学人文学部・教授
瀬田 勝哉 武蔵大学人文学部・教授
曽我 良成 名古屋学院大学・教授
富田 隆 駒沢女子大学人文学部・教授
中町 美香子 東京大学史料編纂所・特任研究員
中村 康夫 国文学研究資料館文学形成研究系・教授
名和 修 陽明文庫・文庫長
西村 さとみ 奈良女子大学文学部・助教
畑中 彩子 学習院大学文学部文学部・助教
藤本 孝一 龍谷大学文学部・客員教授
Karel Fiala 福井県立大学学術教養センター・教授
松薗 斉 愛知学院大学文学部・教授
三橋 順子 多摩大学・非常勤講師
三橋 正 明星大学人文学部・准教授
森 公章 東洋大学文学部・教授
山下 克明 大東文化大学東洋研究所・研究員
吉川 真司 京都大学大学院文学研究科・教授
吉川 敏子 東海大学文学部・准教授
近藤 好和 國學院大學文学部・兼任講師
荒木 浩 国際日本文化研究センター・教授
稲賀 繁美 国際日本文化研究センター・教授
井上 章一 国際日本文化研究センター・教授
笠谷 和比古 国際日本文化研究センター・教授
鈴木 貞美 国際日本文化研究センター・教授
榎本 渉 国際日本文化研究センター・准教授
瀧井 一博 国際日本文化研究センター・准教授
Markus RÜTTERMANN 国際日本文化研究センター・准教授
横山 輝樹 国際日本文化研究センター・事務補佐員
吉田 小百合 総合研究大学院大学文化科学研究科・博士後期課程