■研究活動 共同研究 2003年度

「封建・郡県」論を巡った中国と日本における思想連環-漢字文化圏における他国認識と自国改革-

 同じく漢字文化圏に属している中国と日本の知識人の間の「封建・郡県」を巡る直接ではないが、現実性の強い対話の歴史(特に17世紀以降盛んになったが)は長くて近代初期まで続いた。学界にそれへの研究が多く現れたが、また幾つかの問題も残っているように思われる。それらを意識して次のように問題設定を行う。1.「封建・郡県」論へのアプローチでは中央と地方の関係だけでなく、秩序と規範、教育と学問、自国と外来勢力、科挙制と身分制、家族とコミュニティの構造、官僚制、さらに、議会民主制などの視角も取り入れるべきであろう。2.「封建・郡県」の比較の中、両国の知識人はしばしば自国の体制を弁護したりしていたが、しかし重大な危機に瀕した際、相手国の体制の長所(短所とともに)を注意深く観察しており、また自国の現状批判、体制改革の中で参考し、活用していた。本研究は先学の成果を踏まえつつ、思想史、制度史、社会史との関連・交錯の中で、それらの問題を考察したい。そして、漢字文化圏の諸国における儒教的共通観念に基づく思想連還、及び欧米の衝撃による近代的改革と違う自生的改革の持つ性格と意味をも検討したい。

代表者 張   翔 中国復旦大学人文学院歴史系  国際日本文化研究センタ-研究部 ・教授外国人研究員
幹事 園田 英弘 国際日本文化研究センタ-研究部・教授
班員 苅部  直 東京大学大学院法学政治学研究科・助教授
佐藤 慎一 東京大学大学院人文社会系・教授
陶  徳民 関西大学文学部・教授
中山 富弘 広島大学大学院教育学研究科・助教授
本郷 隆盛 宮城教育大学人文学部・教授
頼  祺一 広島大学大学院文学研究科・教授
渡辺  浩 東京大学大学院法学政治学研究科・教授