■研究活動 共同研究 1999年度

類似性の科学と模倣の情報文化に関する研究

80年代以降の文化は、コピー文化と形容されて久しい。日本人は一般に情報コピーに寛容であるといわれている。このことは、モドキ、マネキといった日本語に代表されるような、模倣を基調とした創造的表現や学習態度の伝統と無縁ではない。模倣すること、うつすことは、創造を捨て去ることによる創造であり、そこに日本の情報文化の特性がひそんでいるのではないだろうか。近年の著作権論議において否定的にとらえられがちなコピーや模倣について、近代以前の日本や諸外国における文学・美術・芸能・芸道等における情報伝達や創造的活動との関連を見直しておく必要がある。  一方で、そのような論を進めるにあたっては、複数の対象に対する類似性の判定に関し、確固たる科学的基礎を固めておく必要がある。類似性の判定をめぐっては、個人の経験に基づく主観的判断に頼る部分が多いのが現状である。認識工学分野においても、対象間の類似度の定義が最大の問題となっている。類似性判定についての人文学的方法と認識工学的方法が融合することによって、模倣の情報文化研究にひとつの切り口を与えうるであろう。この研究会では、類似性判定に関する科学的根拠を追求し、その上で情報文化の立場から模倣の価値を再検討する。

代表者 山田 奨治 国際日本文化研究センター研究部・助教授
幹事 光田 和伸 国際日本文化研究センター研究部・助教授
班員 尼ケ崎 彬 学習院女子大学国際文化交流学部・教授
内田 保廣 共立女子大学文芸学部・教授
久保 正敏 国立民族学博物館博物館民族学研究部・教授
柴山  守 大阪市立大学学術情報総合センター・教授
白石 さや 京都文教大学人間学部・教授
武井 協三 国文学研究資料館研究情報部・教授
辻本 雅史 京都大学大学院教育学研究科・教授
中野  潔 (株)アスキー・報道局長兼主幹研究員
中村 敏枝 大阪大学人間科学部・教授
八村広三郎 立命館大学理工学部・教授
埴原 和郎 国際日本文化研究センター・名誉教授
福田  收 法政大学社会学部・非常勤講師
美濃 導彦 京都大学総合情報メディアセンター・教授
村上 征勝 統計数理研究所領域統計研究系・教授
小松 和彦 国際日本文化研究センター研究部・教授
鈴木 貞美 国際日本文化研究センター研究部・教授
頼富 本宏 国際日本文化研究センター研究部・教授
稲賀 繁美 国際日本文化研究センター研究部・助教授
井上 章一 国際日本文化研究センター研究部・助教授
テモテ・カーン 国際日本文化研究センタ-海外研究交流室・助教授
栗山 茂久 国際日本文化研究センター研究部・助教授
早川 聞多 国際日本文化研究センター研究部・助教授
原 正一郎 国文学研究資料館研究情報部 国際日本文化研究センター研究部・助教授客員助教授
楊  暁捷 カルガリ-大学 国際日本文化研究センター研究部 ・準教授客員助教授